“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第112回
掛川牛

静岡は掛川に旨い酒がある。
「開運」という銘柄で、開店祝いなどによく使われる。
名前だけでなくて酒質も最高だ。
特に、ここ数年の品質向上は目立っている。
その「開運」を醸している土井酒造場を取材で訪れた。
土井酒造場は土井清幌社長と
能登杜氏の最高峰と認められる波瀬正吉さんのコンビが素晴しい。

土井社長はアイディアマンの機械好き。
人間には管理しにくい部分をなるべく機械にやらせて、
酒質の安定化をはかるように、近代設備を次々と導入している。
しかし、波瀬さん以下の
蔵人の手作業にまかせたほうがいい部分はちゃんと残してある。
そこに波瀬杜氏の経験豊かな酒造りの技術が十分に発揮される。
そんな酒がまずいわけはない。

で、取材を終えてから、
土井社長に掛川の鮨屋に連れていっていただいた。
「宝鮨」という鮨屋。
静岡県ならではの、鮪を初めとする美味しい魚介類を堪能した。
江戸前とはまた違った趣を地方の鮨屋は持っている。
先日、奥播磨の下村専務に連れて行っていただいた、
姫路の鮨屋も瀬戸内の美味しい魚が味わえたが、
ここ、掛川も素材が素晴しい。

そんななかで、牛肉がでてきた。
「掛川牛」というブランドで、陶板焼きにする。
その掛川牛はなかなか美味しかった。
従来「霜降り肉」は松坂牛といえどもあまり好みではないのが、
この掛川牛は食べられる。
肉の脂の渾然一体となった甘みがたまらない。

あわせた酒は「開運」の無濾過純米生原酒。
素朴な旨みがあり、柔らかに、滑らかに飲める。
掛川牛はこの地方で育てている牛だそうだが、
脂のつきが上品で、甘みを感じる。
開運がよく進んだ。

今回は5日間かけて、五軒の蔵巡りをしたが、
いずれの地も、
その地方の美味しい食べ物にめぐり合えることができ、
幸せであった。


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