“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第120回
メディアのグルメ情報は信用するな

私は、新しい料理店の開店情報は、
グルメ雑誌などから結構学ぶが、
その掲載記事はあまり信用していない。
あくまで自分の舌で判断してはじめて
いい店だとか、人気倒れだとか分かる。
最近はグルメ情報が氾濫しすぎている。
何故あんな店が、こんなに誉められるのかなど、
これでプロのグルメライターなのか、
と疑問に思うような記事をよく見かける。

しかし、雑誌、単行本はまだいいほうだ。
全く信用できないのは、テレビ番組。
私はあまりテレビを見るほうではないが、
仕事のかたわらで妻などがグルメ番組を見ていると、
ちょっと気にはなる。
しかし、絶対に信用はしない。
何故かというと、テレビ番組にとって、
一番優先されるのは、情報の新鮮さだ。
これまでメディアに紹介されたことのない店が注目を集める。
その店の味などは、
テレビの画面からは見ることができないので関係ない。

例えばラーメン屋特集などは、
昔からやっているラーメン屋より、
新しくオープンした店をとりあげることが多い。
新しければ、それだけで話題になるわけだ。

以前、料理屋向け業界誌の編集をやっていた友人から、
テレビ局からよく電話で、最近できた店を教えろ、
評判になりそうな店はどこだ、という問い合わせがある
という話を聞いた。
自分達で味の情報を地道に集めることをせずに、
安易に美味しい情報を持っていそうな
メディアに聞きまくるそうだ。

グルメ雑誌も昔よりも記事の質が落ちていて、
面白さを感じないものが増えてきた。
取り上げ方が浅いのだ。
また、どの店でも同じように美味しいと書いてあって、
店の個性が浮き彫りにされていない。
懇意な鮨屋にも、よくライターが取材に来るそうだが、
忙しい時間を割いて丁寧に説明しても、
でてくる記事にはがっくりすることが多い、と言っていた。
ライターの食に関する造詣が浅く、
いくら分かりやすく説明しても理解してくれないという。

もちろん、食べ物をよく勉強していて、
大変まともな記事を書く人もなかにはいる。
私の友人にも、ライターは多いが、その人たちはまともだ。
まあ、まともだから、友人関係を続けられるともいえるが。
ただし、グルメ記事全体で見れば、
ライターの力不足を感じるものがとても多いのは残念だ。


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