“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第125回
日本のソムリエ資格は世界には通じない

ソムリエの起源といえば、
まずは、ギリシャ時代での祭礼時の酒の準備係り。
次がフランス王侯貴族の毒見役だったらしい。
それがレストランができて、
ワインの管理と運搬をやるようになり、
お客にもワインのことを伝えるようになって
ソムリエという職業が成り立つようになったそうだ。
いまでは、フランスではソムリエは国家資格となっている。
では、日本ではどうかというと、
社団法人の日本ソムリエ協会が私的に定めている資格で、
国の資格ではない。
そもそもは、東京オリンピックを機会として、
パレスホテルの浅田勝美氏が
独学でワインサービスを学んだことが発足のきっかけだ。

ところで、日本は世界で一番
ソムリエと称する人間が多い国らしい。
それに一番貢献しているのは日本航空のスチュワーデス。
JALでは会社の施策として、空飛ぶソムリエを造って、
ワインサービスのイメージを上げようとしている。
その割には、JALに乗って
美味しいワインに当たった覚えが少ないのだけれど。

当然、日本でソムリエの資格をとっても世界では通用しない。
国内でも、特にソムリエの資格がないと
ワインのサービスができないというのでもない。
ソムリエの資格は現在では、華道、茶道の師範のようなもので、
その上にシニアソムリエ、マスターソムリエ
なんていうのもあるようだ。
また、名誉ソムリエというのがあり、
小泉純一郎内閣総理大臣を初めとして、
政治家、タレントなどの有名人が名を連ねている。
政治家を入れているのは、調理師免許と同じように、
なんとか国家資格に入れて欲しいという戦略なのだろう。

さて、ワインで世界に通用する唯一の資格は、
マスター・オブ・ワインMWの称号だ。
1953年に英国で発足し、30年の歴史を経て、
1980年代に英国以外にもオープンとなって、
世界で246名が厳正な資格試験を通過している。
日本人はおろかアジア人は皆無。
あの、ポケットワインブックを執筆している
ヒュージョンソンでさえ、いまだ取得していないほど、
ハードルが高い。
ワインそのものはもちろん、葡萄の栽培から、
ワインの商売に至るまで精通している必要がある。
現在MWの大半は英国、米国、オーストラリアから出ている。
日本人がMWを取得する日がくることは無いかも知れない。


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