“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第166回
水と美味しさ〜その1 料理と水

水は料理をする上で重要だ。
水道水のカルキ臭さが浸みついた料理などは論外だが、
適切な水を用いないと美味しい料理にならない。
毎日の料理用に
週末には丹沢山まで水を汲みにいっている、という知人もいる。
しかし、水にこだわり過ぎて、
東京の水は美味しくないからという理由で
地方に移る蕎麦屋などが昔は多かったが、
そこまで水が蕎麦の味に大きく影響するかというと、
かなり疑問だ。

蕎麦切りの味を決定する要素は色々あるが、
まずは蕎麦粉の質が効果の8割以上を占める。
そして、次に重要なのは汁のうまさで、
それも、原材料の鰹節や昆布の選択で大半が決まる。
蕎麦打ちの技術などは、
プロとしてある程度の腕に達していれば、
それ以上は見た目の違いはでるものの、
味に対する影響は少ない。
素人の蕎麦打ちでも、少量の蕎麦粉の手打ちであれば、
プロと同等の腕を持っている人は結構多い。
ただし、プロは短時間にたくさんの蕎麦切りを準備しなければ
商売にならないので、その部分の技量は素人とは随分違う。

水が、蕎麦切りの味をどれだけ左右するかというと、
手打ちの際に加水する水、
茹でるために使用する水のどちらをとっても、
水道水を浄水器を通した水であれば、
十分美味しく蕎麦切りができる。
私自身は気分の問題もあって、
浄水器を通した水に備長炭を入れて、
しばらく置いたものを使うことが多い。

ただし、汁を取る水は多少の配慮は必要だ。
というのは、硬水では出汁がでにくいからで、
軟水を用いたほうがいい。
蕎麦以外の料理でも、出汁を取る場合とか、
鍋をするときにも軟水のほうが適している。
硬水と軟水の違いで、
最近、もとレーシングドライバをしていた知人から
面白い話を聞いた。

海外の耐久レースでドライバが交代するときに飲む水が、
いつもと違って飲みにくく、
見たらエビアンだった、というのだ。
いつもはボルビックを飲んでいたが、
ボルビックな軟水、エビアンは硬水だ。
極限状態に疲れているときに身体が要求する水は、
硬水ではなく軟水という話だ。


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2005年4月4日(月)

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