“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第189回
椎茸が旬

椎茸の旬は秋だけではない。
実は春の時季が椎茸の出荷の最盛期だ。
この頃の椎茸の張りのある食感は素晴らしい。
ゴールデンウィークに野菜の種蒔をしたあとで、
近くの温泉である、
高根沢「元気アップ村」に汗を流しにいった。
そこで野菜と花の直売場があったので、
椎茸、平茸、生のナメコ、ワラビ、タラの芽などを買った。

この椎茸が旨かった。
直径が十数センチメーターはある大きな椎茸で、
まずは天麩羅で賞味した。
ぷりっとした張りのよさで、食感がすばらしい。
噛むと甘みがとろけるように出てくる。
値段からみれば、松茸の何百分の一の安さだが、
松茸ではこのようなダイナミックな味わいは体験できない。
これぞ、旬の椎茸の凄さだ。

椎茸もグレードが色々とある。
産地がどうのこうのという人もあるが、
むしろ、栽培方法が問題だ。
椎茸の栽培方法は、
昔ながらの「原木栽培」と
近代化した「菌床栽培」の2種類がある。
原木栽培は、原木を切り出して、穴を開け、
そこに種菌を打ち込み、
林間に放置して自然のなかで1年かけてゆっくりと椎茸を育てる。
一方、菌床栽培はオガクズに米糠などの栄養源を与えて固め、
種菌を打ち、空調設備のある場所で茸を発生させる方法だ。
季節に関わらず3ヶ月でできる。
しかも、密集して植えられるので、大量に作れる。
スーパーで売っている椎茸は、味わいが薄いものが多い。
これは「菌床栽培」で大量生産したもので、安価。
味だけでなく、栄養分も少なく、形状もよくない。

原木栽培で育てた椎茸は旨い。
天然の椎茸は絶品だが、それに匹敵する旨さがある。
肉厚は厚く、張りがあり、しかも栄養素も高い。
もともと椎茸はビタミンD2による骨粗鬆症の予防、
エリタデニンによるコレステロール、血圧の低下、
グァニル酸などによる血液のサラサラ化、
ビタミンCによる活性酸素の消去、
それに、他にも肝機能障害の防止、癌の予防などの薬効がある。
これらを支える栄養素は原木栽培のものが遥かに高い。

干し椎茸では、最近は天日干しするものが少なくなっており、
機械乾燥が大半になっているらしい。
これは、天日干しでは虫がついて
歩留まりが相当悪くなることと、
天日干しの低温乾燥では旨みが十分でないことにもよる。
従来は、椎茸は炭火で乾燥させられていたそうだ。
しかし、ビタミンD2は天日干しによって高まるので、
自宅で天日干しをすることもお勧めだ。
傘の裏を上に向けて日に当てる。
時間は30分から3時間くらい、紫外線の量に応じて調整する。


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2005年5月12日(木)

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