“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第243回
神田『新八』で絶品の酒肴と神亀古酒を楽しむ

神田駅のすぐ近くにある居酒屋『新八』は
店主の佐久間達也さんが、
神亀の小川原専務の酒造りの考え方に惚れこんで、
神亀はほとんどのラインナップを揃えている。
しかも、通常は市販していない
神亀の蔵で熟成した酒も飲めることもある。
先日お邪魔したときには、
神亀「ひこ孫純米吟醸」の1995年醸造の古酒をいただいた。

突き出しは、つぶ貝、枝豆、エシャーレットなど。
これをつまみながら、
神亀「ひこ孫純米吟醸」の10年古酒を燗で一杯。
綺麗に枯れていて、酸の骨格がよりはっきりでている。
熟成香がとても滑らかに鼻腔をくすぐる。

料理は佐久間さんにお任せで数点出してもらう。
神亀古酒に合う料理と言ってお願いしたら、
佐久間さん自ら造ってくれた。
最初がオコゼの唐揚。
カラッと揚げてあって、熱々で神亀とあわす。
もこっとした食感と甘みの多い味わいが
神亀の落ち着いた香味によくあう。

次が、サンマの炙り霜。
皮を炙って氷水にすぐ漬けて粗熱をとったもの。
早い時期のサンマとしてはとても秀逸。
火をとおすことによって、生臭みがなくなり、
旨みがよくでている。

最後がクエのカマを煮たもの。
これがまたとても旨い。
頬の肉、目玉の裏、骨についている肉、皮。
上品な煮汁の味付けで、クエの味わいがよく引き出されている。
クエは刺身で食べると淡白な味わいで、食感が面白いが、
煮物や鍋にすると、中に潜んでいた味わいが表にでてくる。
これは、神亀10年古酒の滓の部分を燗したものとあわせる。
この滓は、新酒のうちにはなかったもので、
5年を越えるあたりからたまり始めるものだ。
この滓がまた甘みを持っていて、上澄みとは違う味わい。
クエのぷりっとした食感の中の旨みとよくあっていた。

新八は客数はかなり大きいので、満席に近い状態だと、
サービスがいくらかおろそかになることがある。
また、居酒屋としては破格の値段になることもある。
しかし、佐久間さんが仕入れる魚は極上であり、
それを丁寧に調理してくれるときは、至福の時をすごせる。


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2005年7月27日(水)

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