“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第249回
北海道の海の幸で豪華な食事

苫小牧の「海の駅ぶらっとみなと市場」で仕入れた魚介を
早速調理して食べてみた。
八角は皮が固く、断面が八角形をしている。
通常の捌き方をすると、あとで皮をはずすのが難しくなるので、
最初に皮を剥いて置く。
まず、肛門からエラの近くまで逆さ包丁を入れて、
内臓をはずし、そのあとに、胸ビレの後ろ、
そして、背ビレと腹ヒレに沿って包丁を入れて、
それから皮を手で剥く。
そして三枚におろす。
これを柳刃で薄造りにする。

はつかり醤油だけで山葵を使わずに食べたが、
繊細でしかも濃厚。
上品なコクと食感がたまらない。
あわせた酒は、秋鹿の「霙(みぞれ)もよう」。
これは滓がからんでいる発泡日本酒だ。
濃いが切れ上がりがよく、泡がここちよい。
八角の濃厚な味に霙もようの酸の切れ上がりがよく合う。

内臓を出したときに、
肝がとても綺麗な色をしていて旨そうだったので、
こちらは湯引きをしていただく。
これが、絶品。
鮟肝などは比べ物にならないくらい上品で
繊細な甘みを持っている。
食感も適度に張りがあって、
口のなかで噛むとマシュマロのように、
こまかく崩れていくところが、とても快感。
これまで食べた魚の肝のなかでもベストではないかと感じた。
新鮮だから体験できることだ。

次に蝦夷鮑を調理する。
小ぶりの鮑なので、スプーンを使って肝の下からはずす。
まず、肝をたたき、
それを醤油と無塩バターと日本酒で炒めてソースを造る。
そのソース地にバターを足しながら貝柱の方を裏表を炙り、
日本酒を足し、最後に蓋をして蒸し焼き状態にする。
その残ったソースでさらに、舞茸を炒めて付け合せにした。
これがまた最高。
マダカ鮑よりも固く、甘みが強い蝦夷鮑は
やはり火を通すのが旨い。
濃厚な甘さがなんともいえない。
その鮑の旨さをバターの香がよく引き出している。
フレンチがバターをよく使う理由がわかる。
付け合せの舞茸も最高。
鮑の旨みと、舞茸の香が調和するさまは、まさにマリアッジュ。
いい食材を使うときには、
こんな単純な調理が一番素材のよさを引き出す。
味はつけすぎない方が、また、いじりすぎない方がいい。

鮑には秋鹿の「山廃純米大吟醸」2002醸造年度のものを合わせた。
こちらは、山廃の複雑味と大吟醸の繊細さ、
それに、秋鹿特有の酸の切れ上がりをあわせて持っている。
燗をする暇もないほど、常温で飲んで美味しく、
鮑と絶妙の合わさり方であった。
この鮑には、おそらく赤ワインでもかなり合うことと思う。
しかし、醤油と日本酒を使っているので、
日本酒との相性のほうが上を行く。
調理に用いた日本酒はもちろん、
あとであわせた秋鹿「山廃純米大吟醸」だ。
もったいないと思われるかも知れないが、
いい素材を最高の状態に調理して、日本酒と合わせるには、
同じものを使うことがベストだ。


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2005年8月4日(木)

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