“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第295回
秋の美味、これからの楽しみ

10月もなかばになり秋が深まると、
この季節の美味しいものが
目白押しに口にすることができるようになる。
秋は、十日の旬が変るごとに色々な果物が登場してくる。
梨、葡萄、桃、林檎、イチジクなどと続いてきて、最後に柿。
これらはおやつで食べても美味しいけれど、
料理の食材としても楽しめる。
また、カクテルの材料としても新鮮な味が美味しい。

この時季の特別な食材としては、丹波の黒豆の枝豆。
なぜか、丹波は他の枝豆より2ヶ月くらい旬が遅い。
さやごと焼いて食べるとホクホクした甘みが愉しめる。
この食べ方は池袋「坐唯杏」に伝授。
丹波のものではないと思うが、看板料理になっている。

松茸は国内産が多く出回る。
中国山、北朝鮮産、韓国産、カナダ産とは、やはり香りが違う。
いい松茸は単純に焼いて食べるのが一番美味しい。

日本海沿岸のズワイガニの解禁も近い。
能登半島、福井、京都府、山陰と名前も違うが、種類は同じ。
それぞれ、ブランドの保証としてのタグが足につけられている。
ズワイ蟹も色々食べて、
どこでもとても美味しい思いをしているが、
ブランドとしてもてはやされていない鳥取産はかなりお勧めだ。

上海蟹も旬を迎える。
それと同じ種類の西日本で獲れるモクズ蟹も
美味しい季節となっている。
前回モクズ蟹を紹介するときに、
マズク蟹と誤って表記してしまったが、モクズが正しい。
四国や山陽、山陰、九州の綺麗な水の沢でとれるが、
この蟹を食べると
わざわざ高い金を払って上海蟹を食べることが馬鹿らしくなる。
地元で食べれば新鮮な味わいが愉しめるので、
上海蟹以上の美味しさが体験できる。

蕎麦も一段と美味しくなってくる。
新蕎麦が出回るが、まだ北海道産のものが主流。
この時季の新蕎麦は香りは愉しめるが味わいはまだまだ。
あと一月たてば、
内地の味わいの濃い蕎麦が新蕎麦として提供されるようになる。
しかし、それらの蕎麦が本当に旨くなるのは、
熟成した12月から2月くらい。
我々の自家栽培をしている蕎麦も
収穫は10月末から11月初めくらいで、
その後1ヶ月以上の熟成を経て本当に旨くなる。

日本酒も飲み頃になるのが今の時季だ。
あと一、二ヶ月もたてば今年の新酒も出回るが、
それではなく、昨年の醸造年度のものが味乗りして、
とても美味しくなってくる。
秋が深まる頃に、
その時季の美味しい食材に味乗りしてきた日本酒を合わせる。
これぞ、日本人に生まれてよかったとおもう瞬間だ。


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2005年10月14日(金)

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