“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第302回
手作業をしなくなった農家

今年の蕎麦栽培もゴール間近となってきた。
栃木県芳賀町の自家栽培畑は刈取が終わり、
脱穀が残っているだけ。
馬頭の契約栽培は先日刈取に行ってきた。

早朝5時に都内を車で出発して7時半頃に現地着。
畑を早速チェックしてびっくり。
雑草が多いことと、倒れている蕎麦が結構ある。
雑草は覚悟していたが、これまでに経験しないくらい凄い。
これは、畝幅を1mと広くとったせいのようだ。
蕎麦の倒伏は予想していなかった。
今年は台風もそれて順調に伸びていたはずだった。
畑の持ち主の農家の方に聞くと、猪が畑に入ったせいという。
どおりで、倒れている場所が限定されている。

倒伏と雑草のおかげで、刈り取りは通常よりも随分大変だった。
雑草の混じるなかから、蕎麦の根元を見つけ、
それが倒伏して色々な方向へ曲がっているのを、
手でたぐり、鎌でこそぎとる。
6人で刈取をして、2反5畝程度ある蕎麦畑は
夕方4時の暗くなる直前までには、全部の作業は終わらずに、
2割の面積を残すことになった。

終わってみたら、腰の痛さは中途半端ではない。
すると、手伝ってくれていた農家の方も腰が痛いという。
プロでもそうなるのかと感心していたら、
最近はこんな手作業で蕎麦を刈る農家はいない。
全て機械刈りばかりで、
今回の栽培方法は数十年前に子供の頃に手伝わされたやりかた
と言われた。
懐かしいという。
他の農業も鍬を使う手作業はしなくなり、
畝作りでも雑草駆除でも刈取でも、機械を使うという。
手作業では、安い値段で農協に叩かれては商売にならないわけだ。

プレミアムブランドを確立してしまえば、
手作業をやるだけの値段の取引はできるが、
通常はいくらいい野菜を造っても
高い値段で引き取ってはくれないという。
今回のように全て手作業で作った蕎麦の価値を認めてくれて、
高く買ってくれる蕎麦屋が集まれば、
馬頭の蕎麦栽培ももっと活気付くのではと思った。

馬頭では、最近は、
大規模に機械化をして蕎麦栽培をするところしか
無くなったという。
いくらいい蕎麦を作っても
農協では安い値段でしか買ってくれないので、
結局は機械で大量に作るしか商売が成り立たないわけだ。
農家のほうでは、農協を通さなくても
直接蕎麦屋に卸すことは可能という。
いい原材料を探している蕎麦屋さんがいれば、
ぜひ、農家からの直接の取引をお勧めしたい。


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2005年10月25日(火)

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