“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第317回
煮物のバリエーションを地酒と愉しむ

池尻大橋にとてもいい地酒居酒屋があるが、
メディアへの露出を頑なに断り続けている。
拙書「世界一旨い日本酒」でも紹介しようと掲載の打診をしたが、
これまでに断ってきた人たちへ申し訳が立たないと、
やはり断られてしまった。

この店では、私の本を読んで定温保管庫を追加して、
常温で日本酒を保管することを始めた。
純米無濾過生原酒の酸の高い日本酒はうまく熟成するが、
加水の酒が逆に駄目になったりするという
面白い結果がでているそうだ。

この店で煮物ばかり注文して、
常温熟成の純米酒を楽しんだことがあった。
連れがちょっと体調を崩していたので、
身体に優しい酒肴を選んだわけだ。
まずは、牛筋の煮物。
これを、十旭日純米無濾過生原酒と合わせる。
牛筋の味付けが、
甘さと辛さのバランスが絶妙にとれていて素晴らしい。
十旭日の燗がとてもよく進む。

次が肉じゃが。
これは、肉が挽肉で葛のとろみがつけてあって、
ジャガイモに絡めてある。
ジャガイモがホカホカで、挽肉の旨みが絡んでとてもいい味だ。
諏訪泉富田と合わせる。
この酒は富田農場で無農薬栽培された山田錦を原料とした純米酒。
こちらもお店で常温熟成させたものだ。

そして、黒メバルの煮物。
これが、白眉。
メバルの旨みというのは、煮込むほどでてくる。
上品な白い肉が骨からぽろぽろはずれて、それをほおばる。
骨の近くが旨いが、目の奥のぬるっとした部分にも
旨みが凝縮されている。
悦凱陣山廃純米無濾過生原酒の常温熟成と合わせた。

最後はおでんを注文。
これは奥播磨袋絞純米の常温熟成と合わせる。
今回は全て同じ煮物だったが、
全然あきずにバリエーションを楽しめた。
このような、酒肴の楽しみ方もあるものだ。


←前回記事へ

2005年11月15日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ