“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第346回
絶品の懐石料理で忘年会

私的な忘年会を少人数で行った。
メンバーとしては、十数年の付き合いの酒飲み友達2名。
一人は地酒の普及に貢献した児玉光久さんの店
「甲州屋小玉商店」の店員だったこともある友人。
それに、地酒メイリングリストで知り合いになった、
日本酒好きの友人。
また、今回の新メンバーとして山本謙治さん夫妻が参加された。
山本さんは人気ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」や
それを出版した単行本で有名。
学生時代から農業に従事して、
いまでは農作物の流通をやられている。
初夏にビアライゼ‘98で
バードコートの野島さんと一緒にこられていて、
知り合いになった。
それをきっかけに、一緒に飲みに行く約束をしていたが、
お互いに多忙の身でなかなか果たせなかった。

今年の最後に近い宴会の場所として選んだのは、
小滝橋「岸由」。
鳴門のこだわりの鱸・若布の漁師である
村公一さんの魚も扱っており、
しかも、笹塚「マルセウ本間商店」から
造りのいい純米無濾過生原酒をとっている。
それだけではなく、魚はある程度熟成させてから出すなど、
食材の確かな扱いと調理技術に支えられている新進気鋭の店だ。

まずは、先付け。
クワイ、ムカゴ、銀杏、栗チップスを巣揚げしたもの、
それに自家製カラスミ。
これには、「宗玄山田錦」を合わせる。
いずれも、絶妙の火の通し方で、素材の甘味がよくでている。
しかも、カリっとした食感が素晴らしい。
香ばしさを宗玄の深みのある味わいが融合して、
食欲をいやがおうにでも掻き立ててくれる。

次が椀。
顔を近づけて蓋を少し浮かせると、
出汁の香りがふわっともれてくる。
おもわず、その全てを吸い尽くそうと深呼吸をしてしまう。
海の香りが期待を高めてくれる。
蓋を取ると、中には蟹で寄せたゴマ豆腐が浮いている。
こちらは青森の「初駒」と合わせる。
佐藤酒造の初駒は青森では一番のしっかりとした造りで、
これを飲むともう「田酒」などは飲む気がしない。

まずは出汁をいただく。
香りから期待していた以上の深みのある味わい。
長い余韻に浸って再び深呼吸。
そして、中のゴマ豆腐。
これが旨みいっぱい。
出汁の味わいのもとがこれだったと納得。

宴は始まったばかり。
しかし、我々5人はすでに美食の小宇宙を漂い始めていた。


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2005年12月26日(月)

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