“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第354回
銀座「こびき」 〜その2

最初に、ちょっとした酒肴として、
「なめろう」、「莫久来」(ばくらい)、「うにおやじ」を
注文する。
「なめろう」は鯵を叩いて味噌で和えたものだが、
味噌を利かせすぎているものが巷には多い。
「こびき」の「なめろう」は、
味噌の当たりが柔らかく、
鯵の味わいの旨みをうまく引き出していた。
宗玄の燗によく合う。

「莫久来」はホヤと海鼠(ナマコ)の腸を塩辛にしたもの。
海の濃い香りが鼻に抜け、
それを宗玄が洗い流して旨みに変えていく。
「うにおやじ」は五島列島の製品で、うにの甘塩漬け。
こちらは秋鹿の無農薬自営田の山田錦で醸した
純米無濾過生原酒「もへじ」の燗に合わせる。

いずれの酒肴も芳醇な日本酒と、お互いに旨みを引き出している。
食欲がとてもわいてくる。
そこへちょうどいいタイミングで
マツカワカレイの刺身が提供された。
真子鰈、星鰈とも違った、身の張りようがなんともいえない。
味わいは最初はさっぱりとした淡白な感じがするが、
噛み締めると奥から深い味が染み出てくる。
同じ青森の初駒に合わせた。

マツカワカレイの煮物がまた秀逸。
刺身よりも旨みがさらに引き出されている。
縁側の部分はとろりと溶けるようで、
煮汁の旨みと合わせて天国へいくよう。
こちらは、徳島の旭若松と合わせた。

最後に焼き牡蠣をいただく。
三陸産でこれも旨い。
竹鶴に合わせる。
噛むと濃い味わいの海のジュースが溢れてくる。

『こびき』は噂どおり、
魚と地酒をとても美味しくいただける店であった。
銀座では、料理は旨くても、
ろくな日本酒を置いていない店が多い。
また、地酒といっても最近のマスコミに乗っただけの人気銘柄で、
香りが高すぎて料理に合わないものを得意げに出す店もある。
『こびき』は実質的な美味しい地酒もそろっているところが、
とても嬉しい。


←前回記事へ

2006年1月5日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ