“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第355回
年越し蕎麦

年末になると、年越し蕎麦の準備と、
正月のハレの料理の食材の仕入れに忙しくなる。
今回は、年越し蕎麦は我が家と近隣家族合わせて
十数名分を準備することになり、
全て栃木県芳賀町の畑の自家栽培した蕎麦を用いることにして、
3kg弱の丸ヌキ(蕎麦の実の殻を剥いたもの)を
大学の実験用電動石臼製粉機で蕎麦粉にした。

大学の石臼は小型の手回しのものにモータをつけてもらったもの。
そのままでは、大型の電動石臼に比べると
上臼と下臼の間の圧力が少ないので、
上臼の上に重りの鉄板を置けるようになっている。
回転数は低めに設定して、微粒粉が十分得られるようにすると、
とてもつながりがよくなる。

粗挽きのほうが風味はでるが、つながりが悪くなるので、
ある程度の微粒粉が入るように
重りと回転数の組み合わせに配慮している。
自家栽培の蕎麦は粗挽きにしなくても、十分な甘味と香りがでる。
それだけ原材料の質を上げる配慮をし、手間をかけているからだ。

玄蕎麦の水分量は大目に調整してある。
水分量は通常の玄蕎麦で15%以下という基準があるが、
これを敢えて16%になるように乾燥を行っている。
水分が多いほど蕎麦は瑞々しくなるが、
水分が多すぎると石臼が目詰まりをしてしまう。
ぎりぎりの数値が16%だ。

この粉を用いて、蕎麦打ちを行った。
久しぶりの蕎麦打ちであったが、
粉に勢いがあって、たやすくつながる。
もちろん蕎麦粉100%の生粉打ち。
無理につなげるのではなく、
自然に粉どおしがつながってくれるのを待つことがコツ。

汁は常時蓄えてある本返しに、
羅臼昆布と枕崎「丸久鰹節店」から取り寄せている
本枯節でとった出汁を加えてつくる。
こうして、せいろ蕎麦を家族と近所に提供。
蕎麦の甘味は最高で、
やはり、通常の機械作業に頼った蕎麦より力がある。

年越し蕎麦は、諏訪泉「強力」2001年と合わせて食べた。
諏訪泉は昨年の造りの最中に岡杜氏が不慮の事故で亡くなったが、
その岡杜氏を懐かしみながら飲む「強力」は
自家栽培蕎麦にとてもよくあっていた。
2005年度の蕎麦栽培の成果は、十分満足できるものであった。


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2006年1月6日(金)

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