“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第377回
『開運』の美味しさのヒミツ

『開運』は誰にでも分かる美味しさを持っている
稀な日本酒といえる。
居酒屋で開運をおいてあれば、
まずはスターターに注文することが多い。
というのは、癖がなく飲みやすいこと、
そして、それにもかかわらず旨みがたっぷりとあることからだ。

まずは、開運に前菜を合わせ、
そして、宗玄で刺身と合わせるというパターンが私の常套手段だ。
これで、日本酒が苦手といっている人も、
いっぺんに日本酒ファンとなる。

その開運を造っている
土井酒造場の土井清幌社長が藍綬褒章を受章された。
受賞記念パーティが
掛川市の「ヤマハリゾートつまこい」で行われるとのことで、
お祝いにでかけてきた。

開運の旨さは、
能登杜氏の四天王の一人である波瀬正吉杜氏の腕と手間、
それに加えて土井社長の真面目な酒造り経営哲学、
それに社長のアイディアあふれる設備投資のおかげである。
拙書「世界一旨い日本酒」で紹介したように、
土井酒造場を訪問すると、
かならず一つは新しい酒造設備が新設されている。
この土井社長の設備投資の考え方は、
効率化のためではない。
いい酒を造るためだけを考えて、行っている。

例えば、洗米機。
これは、南部杜氏が
タライを振り回して米を洗っているという話を聴いて、
同じような動作になるような機械を開発したものだ。
要は手作業だた重労働になったり、
ばらつきが出てくる工程を機械化しようという考えだ。
それに、環境への配慮も素晴らしい。
米を洗ったり、瓶を洗った排水は
いったん活性汚泥槽に溜められ、
バクテリアが分解するもを待って、上澄みだけ流している。
また、貯蔵庫の屋根にはソーラーパネルを配して、
電力を補っている。

このように、社長と杜氏の二人三脚で醸される開運は、
のびのびした味わいを持っている。
酒質向上の努力を重ねてきた土井社長が
藍綬褒章を受章されたことは、
日本酒業界にとってもとても好ましいことだ。


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2006年2月7日(火)

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