“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第383回
シェリーミュージアムで最後のシェリーを堪能

中瀬さんから閉店の案内をいただいた、最後の日曜。
この日はちょど、銀座の近くのロッキートップ
というブルーグラスのライブハウスで
バンドの練習を昼間していて好都合であった。
なお、このロッキートップには、
私のバンドであるブルーグラスプラネッツは
二月に一度ライブ出演をしており、次回は三月三日の予定。

シェリーミュージアムは、信濃屋のビルの地下にある。
入り口をあけると左右にカウンターが延びていて、
カウンター席は右手。
いす席がそのカウンターの向かいにあるが、
圧倒的にカウンター席のほうが人気が高い。
左側は立ち飲みができ、その奥にはキッチンもある。
店内のシェリーに関連する様々なグッズが飾り付けてあるが、
それらは中瀬さんがスペインで収集してきたものだ。

まずは、フィノを注文。
ドライのさっぱりしたフィノをいただく。
シェリーは食前酒だと思っている人が日本人に限らず多いが、
実は20世紀の初頭にはシェリーは
食中酒、食後酒として扱われていた。
シェリーは英国に主に流通していたが、
それが米国に伝わっていったときに、
ドライなシェリーは食前酒というマニュアルも
酒と一緒に米国に伝わり、
様々なシェリーがあることは忘れられて、
シェリーは食前酒ということになってしまったらしい。

今では日本のみならず欧米でも、
レストランではシェリーは食前酒としての
軽いフィノしか置いていないところがほとんどだ。
しかし、シェリーには様々なタイプがあり、
色々な食事との合わせ方があって、とても奥が深い。

シェリーはパロミノ、ペドロヒメネス、モスカテルという
わずか3種類の葡萄のどれか、または組み合わせで作られる。
そして、地域もスペイン南部の
ヘレスという町の周辺に集中している。
このように、狭い範囲で少ない種類の葡萄で作られるのに、
その味わいは様々であるのが大変不思議だ。
ワインのなかでもシェリーは、味の方向性は同じなのに
味わいの深みで様々なバリエーションがあるという観点では、
日本酒にとても似ている。


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2006年2月15日(水)

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