“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第453回
蔵元訪問で今年の造りの利き酒を堪能する

小さい地酒の蔵元さんたちは、
10月から11月頃になって、その年の酒造りを始める。
そして、酒母造りをし、麹造りを行い、
モロミをタンクに3段階で仕込む。
モロミの発酵は20日から30日くらい、
多いときには40日もかける。
この間に米の澱粉が麹によって糖化し、
その糖を酵母がよってアルコール化してゆく。
その仕込みから発酵過程の条件の違いで様々な日本酒ができる。

発酵の終わったモロミをしぼって、
上澄みを粗い目の布で漉せば清酒が完成。
このような仕込みを一日から数日ずつずらして、
併行して仕込みを行うので、
仕込みが何番目かということで
蔵は番号で造った酒を管理をしている。
つまり、仕込み何号という呼び方をする。
同じ原料米、酵母、精米歩合で、仕込みの条件が同じであっても、
仕込みタンクの番号が違えば
性格の多少ことなった酒になるのが面白い。
それで、こだわっている小売酒屋はわざわざ蔵元を訪問して、
その年の造りはどうか、
どの仕込みタンクのものが売れそうかということを調べに、
利き酒をする。

仕込みは3月頃には終わり、
搾りは3月末か4月頃に終わるので、
蔵元訪問の時季は4月から5月頃が好ましい。
利き手は仕込みの種類をたくさん試せるし、
蔵側も造りが終わってほっとしているころだ。
私は酒屋ではないが、
知っている蔵の造りのできが気になって、
4月か5月に蔵元を訪問することが多い。
今年も三重県伊賀上野市の「るみ子の酒」を造っている
森喜酒造場と、大阪府能勢の秋鹿酒造を訪問した。

ちょうど、その週に三重大学に出張があったのも好都合であった。
三重大学は津市にあるが、
津から森喜酒造場のある最寄り駅の佐那具までは
JRで一度乗り換えるだけ。
今年もどんな造りだったか、
ワクワクしながら列車にゆられていた。
そして、午後の早い時刻に佐那具に到着。
森喜社長が車で迎えにきてくれていた。


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2006年5月24日(水)

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