“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第461回
日本酒業界の重鎮上原浩先生逝去

一月ほど前の箱根を旅行しているときに、
知人の酒ライターの藤田千恵子さんから、
上原浩が亡くなられたことの連絡があった。
上原先生とは、何度も同じ日本酒の会に同席したりはしていたが、
残念ながら生前に一度もお話をしたことが無かった。
早速関係者に連絡をまわしておいたが、
もっと前に色々とお話をしておけばよかったと
後悔の念が頭をよぎった。

上原先生の「いざ純米酒」「純米酒を極める」の著書は、
酒の門外漢の私が純米酒の熟成と燗を
昔から試みてきたことを裏付ける説得力のあるもので、
大変参考になるとともに、大いに力づけられた。
生酒と加水については、意見が違ったが、
そのところの議論を
一度はぜひ交わしたいと思っていた矢先に亡くなられて、
本当に残念なことだ。
やっと、日本酒が復活する傾向が見え始めた。
しかも、燗で飲めば美味しいことが
広く知られるようになってきた。
拙書「世界一旨い日本酒」がどの程度貢献したかは分からないが、
上原先生の「純米酒を極める」は
確実に日本酒好きを増やしていると思う。

しかし、日本酒が売れだした原動力として、
その一部はカップ酒などの一時の流行と思えるところもあり、
今後の復活は予断が許さない状況だ。
カップ酒は、手軽であることは認めるが、
日本酒の品質保持が難しいことと、
造り手側も瓶詰めの手間は1升瓶と同じなので、
利益がほとんど出ないというデメリットがある。
蔵出ししたときにはいい状態であっても、
流通で劣化した酒を消費者が飲めば、
初めての銘柄が悪い印象になることは間違いない。
そして、蔵や小売店も利益があがらないことでは、
なんのためにやっているかが分からない。
カップ酒よりも、1升瓶が売れるようになることが、
日本酒業界の本当の復活に結びつく。
そうなるためには、上原先生に天国から
さらなるご指導をいただかないとならないかも知れない。


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2006年6月5日(月)

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