“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第462回
素人が料理店をすぐに出せるか?

よく知人から
「古川さんは自分で蕎麦屋や居酒屋などの
 料理屋をやらないのか?」
と質問を受ける。
現時点ではその計画は全くない。
やりたい気持ちはないことはないが、
実際の経営を考えるとかなり大変だ。

料理屋をやるとすると、3通りの方法がある。
一つは自分が中心となって料理を作る小さい店。
二つ目は、自分が率先はするが、
料理の手伝い、サービススタッフなどを雇った、
もう少し規模の大きい店。
三つ目は、経営者として運営方法を指示して、
店のスタッフに任せる形。

最初の形式は、本業がある限り不可能だ。
夜だけ営業とか、週末だけ営業という形にしても、
仕入れを安定させる努力に費やす時間が持てない。
二番目あたりは現在でも資金さえあれば、できるかもしれない。
もちろん、年収の多くを
美味しいものを食べることにつぎ込んでいて、
そんな資金自体があるはずがないし、
多額の金を借りてまで料理店を出す気もない。
三番目は、さらに資金が必要。
タレントなどの金のあまっている人たちなら可能な選択肢だ。

可能性の高いのは大学を定年退職してから、
一番の形態で小さな店を出すことだ。
しかし、これとて旨く経営できる自信はあまりない。
趣味の世界では、
プロの提供する味以上のものを造ることは可能だが、
それを利益も出しながら安定して維持することは、なかなか難しい。

例えば、新橋「鮨処しみづ」の清水さんも、
鶴八で修行しているときよりも、
自分で実際に店を出してからのほうが、
遥かに勉強になったという。
鮨教室などもそうだろうけど、親方や先生から教わることと、
自らやってみて分かることは違う。
清水さんは、「しみづ」を出してばかりのときは
試行錯誤で大変苦労したと言っている。
いろいろとやってみて、
ようやく安定したサービスができるようになったという。

鮨屋は特にカウンターでお客と親方が向かい合うので、
客の個性、気持ちを感じ取り、
個別にサービスを変えることが重要だが、
それが最初はなかなかできなかったそうだ。
仕入れた魚介類も日々変化があって、
同じ種類であっても、
その個性に応じて微妙に仕事を変える必要がある。
それが分かるようになるには、
自分が責任を持ってお客と対座することが必要だ。

蕎麦屋にしても、蕎麦教室を短期間で卒業して、
すぐにマニュアルどおりに蕎麦屋がうまくやれるかというと、
そうではない。
仕入れた蕎麦粉は日々違うし、
季節の温度や湿度の違いも考慮して、
安定した蕎麦切りを提供する必要がある。

ということで、趣味で美味しい思いを自分でして、
他の方にも味わってもらう範囲にとどめることが、
一番現実的なようだ。

先日、「超美食会」のご案内をして、
多くの読者の方々から応募が殺到し、
募集人数を大幅に越えたのですぐに締め切らざるを得なかった。
最初は、応募者が一人もいなかったらどうしようと、
密かに心配していたが杞憂だった。
応募された方々に感謝するとともに、
次回は多くの応募者が参加できるように
企画を充実させてゆきたい。


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2006年6月6日(火)

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