“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第463回
料理屋の使い方

どのジャンルの料理屋にしても、
どんな料理を出すか、
美味しいか美味しくないかということ以前に、
その料理屋の店主がどんな考えで店をやっているか
ということが一番興味を覚える。
もちろん、その店主の考え方は、
サービスを受け、料理を食べ、
店員とのやりとりを通じて予想するわけだが、
しっかりとした考えを持っているご主人の店は、
それが、料理にもサービスにも現れている。

結局、同じ店に通うようになるか、
一度だけで終わるかということは、
その店の居心地などを通じた、
店主の考え方との共鳴の度合いによると思える。
そして、気に入って通い始めると、
また、その店の個性がだんだんと理解できてくる。
店との付き合いが深くなるほど、
店の個性を深く堪能できることになる。
あるときには、その店の、
あるいはご主人の意外性を知ることもある。
良い方向の話もあれば、悪い方向の話もある。
また、店の側からしても、客が二度三度の通ってくれれば、
その好みや個性などがだんだんと把握できてくる。
すると、一見のどんな人間だか分からない客に対する
一般的なサービス以上の、個別のサービスが可能となってくる。

このような、客と店の双方向の理解によって、
客も店にあわせた振る舞いができるようになり、
居心地はさらに向上する。
このような、行き着けの店がいろいろ出来てくると、
その日の食べる目的に応じて使い分けることも可能となる。
友人と愉しく飲みたいときはこの店、
彼女としんみりとした話をしたいときには別な店というように。

このような、料理屋との信頼関係を築きながら、
愉しく快適な食事をすることができるようになるには、
結構な回数を通わないとならない。
よく、何百、何千もの料理屋に通ったことを自慢している
自称グルメやライターがいるが、
彼らは一つの料理屋を訪問するのは、一度くらいで、
表面だけを見て評価をしていることになる。
一度だけの訪問でも、
その店のだいたいのポテンシャルはわかるが、
その真髄を堪能するには、通い詰めて、
その個性を十分理解した付き合いが
できるようになることが必要だ。
つまり、さらっと表面だけ料理屋を見て、
理解した気になっている客は、
すごく損をしていることになる。


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2006年6月7日(水)

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