“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第506回
天然鮎の食べ比べ

天然鮎の旨さは川の旨さ。
川底の苔・藻を鮎が食べて
だんだんと内蔵にその旨さが浸みてきる。
従って、鮎が解禁になった頃では、
この天然鮎の旨さは十分には発揮されていない。
7月末から8月にかけて一番味が乗る。
鮎の旨さは川によって違う。
それがどれだけ違うか
一度で食べ比べようと企画したのが数年前のこと。
当時、東長崎にあった
割烹居酒屋「坐唯杏」の武内さんにお願いし、快諾を受けた。

第1回は気合の入った会で天然鮎に養殖鮎までそろえて、
6種を30数名の参加者にすべて、
武内さんが炭火で焼いて提供してくれた。
200尾以上の鮎を1人で焼いたわけだ。
鮎の会は毎年大好評で継続している。
その年によっても、鮎の味が違うという面白みもある。
どこかのフードジャーナリストが
新橋鮎正で数匹の天然鮎を食べると自慢している記事があったが、
あそこの鮎は島根の高津川のみ。
一つの川の天然鮎だけたくさん食べても、
天然鮎の真髄は分からない。

これまで確認してきた鮎は、
郡上八幡(岐阜)、四万十川(高知)、川辺川(熊本)、
高津川(島根)、揖保川(兵庫)、馬瀬川(岐阜)、
熊野川(和歌山)、鬼怒川(栃木)と多数。
何故か西の鮎が多い。
これらの鮎の味が全部違い、
それぞれの特徴が毎年よく顕れている。
例えば、高津川はどくとくの癖とコクを持っていて、
純情な田舎娘のよう。
四万十川は上品な香りとバランスのよい苦味で、
都会のお嬢さん風。
郡上八幡は強い主張を持っていて、女王様。
と、いった感じ。

今年は7月の全国的な大雨で
鮎がなかなかあがらないようだった。
ところが、さすがに武内さん。
天然鮎を3種類取り寄せてくれた。
ということで、今年は池袋「坐唯杏」で天然鮎の会を開催した。
美味しいものを食べる仲間に呼びかけたところ、
27名の参加者で「坐唯杏別館」は満席になってしまった。


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2006年8月7日(月)

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