“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第519回
銀座「こびき」の愉しみ方

次回の超美食会は銀座「こびき」に設定し、
たくさんの読者の方々から応募をいただいている。
大変ありがたいことであり、率直に嬉しく感じている。
「こびき」のご主人や息子さんとは気心は知れてはいるものの、
超美食会当日までお任せしたままというのも何なので、
暑い夏の日に当日の相談がてら訪問した。

まずは、ブラウマイスターの生で一息つく。
付き出しは「まめ鯵の甘辛焼き」。
ぱりっとしていて、ビールによく合う。
そして、まずは珍味系を3種類注文。
五島列島の瓶詰め塩漬け海胆である「うにおやじ」、
そして、「蛸わさび」、
ホヤと海鼠の塩辛である「莫久来(ばくらい)」。
これには、宗玄の純米無濾過生原酒55%の米違いのラインナップを
「山田錦」「雄町」「八反錦」と3種類注文して、
個別に相性を見てみた。

まずは、「うにおやじ」。
これには八反錦を選択。
海胆の独特に風味に、
八反錦の最初のインパクトの強い味わいがぶつかるのが面白い
と予測。
これは、その予測通りで、とてもいい相性だった。
次が「蛸わさび」で、これには雄町を合わせる。
深みのある雄町の味わいが
「蛸わさび」のさっぱりした食感のなかから旨みを引き出す。
「莫久来」には山田錦を合わせる。
ホヤの甘みと山田錦の柔らかさがよく合う。

次に注文したのが、刺身。
村公一さんの鱸と、新潟親不知の岩牡蠣にする。
村さんの鱸は皮つきで、
熱湯をかけて冷水で荒熱をとった霜降りになっている。
その皮目が旨い。
いずれの宗玄もいい相性だったが、山田錦が一押しか。
岩牡蠣には、雄町が合う。
この岩牡蠣は新潟県親不知のもの。
こくがあって、そのこくに雄町の深みがいいように調和してくる。
そして、「オコゼ唐揚げ」に秋鹿「もへじ」の燗を合わせる。
オコゼの上品な味わい、
それを唐揚げにしたパリパリとした食感のなかに、
「もへじ」の味わいと切れが旨く組み込まれて幸せ。
最後には大羽いわしの刺身に悦凱陣の燗。
いわしの甘みと悦凱陣の甘みがぶつかりあいながら、
相乗効果でより高い旨みへと昇華していく。

新鮮な天然魚介類の奇をてらわないストレートな料理に、
旨みたっぷりの日本酒を合わせる。
これぞ銀座「こびき」の真髄。
一人一万円前後にはなるが、
それ以上の価値を「こびき」は持っている。


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2006年8月24日(木)

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