“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第525回
人生最高の焼きタラバ

炭火がおこるまで、タラバの外子と、
旧軽井沢の商店街にあるハム・ソーセージ店の
「デリカテッセン」の生ハムでまいたイチジク、
それに、同じデリカテッセン製の豚足の燻製などを
しゃぶりながら待つ。
そして、いよいよ炭が怒ってきて、バーベキューの開始。

炭火が真っ赤に燃えるバーベキューコンロの網の上に、
タラバの足を乗せる。
先ほど捌いて蟹肉が取りやすく切れ目を入れた方を
もちろん上にする。
こうすると、肉汁がこぼれないことと、
焼き具合を上から観察できる。

強火なので、長く火にかけておくのは禁物。
蟹肉が殻にこびりつき、かつ、水気もなくなってしまう。
数十秒で、切り込みの蟹肉の上がちょっと騒がしくなってくる。
中の汁が沸き立ちはじめるのが見える。
そして、こまかい泡から湯気となり始める頃が上げどき。
この瞬間を逃さずに、皿に取り分けて早速いただいた。

熱々のタラバの足を火傷しそうになりながら、
手で支えて箸で蟹肉を掻きだす。
それを口に入れると、
ジューシーな甘みと潮の香りが口のなかにいっぱいになる。
これまで焼きタラバは何度も食べてきたが、今回はベストの味。
一同、口もきかずにひたすらタラバの肉を頬張る。
お詫びの接待のときには蟹料理が無口になっていい、
などの冗談もある。

そこにある閃きがでてくる。
この蟹肉に外子を和えようというアイディアだ。
早速次のロットで試してみる。
これが、またなんとも旨いことこの上なし。
タラバの肉の旨みと香りに、外子のプチプチ感と、
漬け汁の酒と醤油の味のまさにマリアッジュ。
これが、また漬け汁に利用した秋鹿「嘉村壱号田」を飲むと、
ベストマッチング。
テタンジュコートドシャンパーニュの相性を遥かに越えている。
そして、他の椎茸、ジャガイモ、
タマネギ、ホタテ、牛肉などの焼き物も、

素材がいいだけに、ストレートな味わいがとてもいい。
「デリカテッセン」のソーセージを焼いたものが、また秀逸。
そして、辺りは闇に包まれて、
我々の周りだけが建屋の壁についているスポットライトで
明るく浮き出している。
庭の木々が風に揺れて梢がざわめき立ち、
そのなかで飲み、かつ、食べ、至福のひとときが過ぎていく。
今年の夏も美味しい思い出がまた一つ積み重なった。


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2006年9月1日(金)

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