“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第534回
村さんの熟成鱸に一同絶句

超美食会当日に、鳴門の鱸と若布の漁師である、
村公一さんに電話をしてみた。
村さんもこの会のことは認識していて、
なんとかいい鱸を獲ろうと努力をしてくれたとのこと。
ところが、彼の父親の一周忌の法事が重なり、
前日に漁をして、
当日に新鮮な鱸を送ることができないという事情があったそうだ。
そこで、彼としてはその前に鱸をとり、
熟成させたものを送ってくれたとのことを伝えてくれた。
これは、かえって新鮮な鱸以上の旨みに出会えると、
密かに期待をしていた。

超美食会では最初に『筋子の醤油漬』がテーブルに運ばれる。
新鮮な北の海の香りが食欲をそそる。
次の刺身が待ち遠しい。
日本酒は宗玄の3種類の米違いの純米酒を常温でお願いし、
どの刺身にどれが合うかを各自で試してもらうことにした。
そして、五点盛の刺身がいよいよ提供される。
『オーストラリア生バチ鮪』は、ほどよく脂が乗っていて、
味わいも深い。
余韻の長い山田錦が合うか。

『気仙沼の戻りがつお』も脂が十分乗っている。
こちらは八反錦の口に含んだときのインパクトで旨みがでてくる。
東北沖の鰹はよく獲れているようだが、
実は生食で日本で消費者される量は余り多くは無い。
残りの余った鰹は脂が乗りすぎているので、鰹節にもできない。
それらのほとんどは、実は中国へ安く輸出される。
そして、その鰹は中国で加工されて
ペットフードとして日本に逆輸入されている。
つまり、日本で飼われている猫たちは、
東北沖の脂の乗った鰹を食べるという贅沢をしているのだ。

『あおりいか糸造り』も甘み十分。
山田錦か雄町のどちらもよく合う。
才巻海老は雄町がいい。
独特の癖通しがうまく合う。
そして、三日熟成させた『村さんの鱸』。
もちっとした食感で、唇と舌が嬉しくなり、
噛むとなかの旨みが口の中に広がる。
村さんの気合が十分に感じられるほどの絶品の味だった。
参加者からも、これほど美味しいとは思わなかったという声が
あちこちから聞こえてくる。
合わす酒はどれでもいいが、
山田錦の余韻の深さに、鱸の旨みがよくからむ。
宴はさらに盛り上がってきた。


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2006年9月14日(木)

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