“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第561回
野外の宴は続く

極銀鮭のチャンチャン焼きは、
鉄板の上に鮭の身を置き、野菜を敷き詰める。
そこに、酒で溶いた味噌をたっぷりと掛けて、焼き上げる。
野菜で蒸し焼きのようになって、
野菜と鮭と味噌の味が渾然一体となって愉しめる。
熱々の鮭と野菜を頬張りながら、宗玄を合わせてみた。
宗玄の上品な酸が鮭の香ばしさをさらに引き上げてくれる。

そうやって、愉しんでいる間に
当たりはすっかりと夜の帳が下りて、真っ暗になっていた。
雨が途中で降り出したが、
林の間に張ったターフのおかげで、
野外の宴席は極めて快適。
ザーという雨の音も自然のなかの心地よいBGMとなっている。
そして、ホッケを焼く。
これが、脂が見事に乗っていて、
熱々のものと秋鹿山廃の燗が見事に合う。
秋鹿のスパッと切れる酸が、
一刀両断にホッケの脂を口の中から消しさり、
その旨さだけがいつまでも残る。

続いて、川魚を焼き始める。
山女に岩魚。
海の魚とは違った、独特の香りに酔いしれる。
そして、あわせたのが、カジカ酒。
これは、カジカを焼いて、
それを熱燗の酒のなかにジュッと入れる。
カジカの香ばしさが、他の川魚ともよく合う。

そして、いよいよタラバを焼き始める。
今回は浜茹でのものをとったので、
火を通すのはほんのちょっと炙る程度。
タラバの足をはずして、
それに包丁目で切り込みを幅広にとって、炭火にかける。
タラバの身に火が通り始めると、
まずは身の表面から湯気が少し立ち、
その後、肉汁がジュルジュルと小さな泡となって出てくる。
ここが、上げ時。
それ以上火にかけると、
タラバの肉の水分が全部飛んでしまって、パサついてしまう。

このようにして、1本1本丁寧に焼くと、
タラバの旨みが逃げずに、本当に美味しい。
これも熱々。
頬張って、鶴齢の燗と合わせてみたが、幸せいっぱいになる。


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2006年10月23日(月)

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