“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第573回
人生最高の焼肉

『虎の穴』でいよいよ焼肉が始まった。
辛さんによっぽど気に入っていただいたのか、
今日は初めての客には出さないという
「ハラミの外側」がまずでてくる。
メニューにも、もちろん乗っていない。
辛さんが美味しい食べ方を指導してくれる。
肉の焼き方から、食べ方から、手取り足取り。
そして、焼いてから切り分けてくれる。

最初はカボス、酢橘ポン酢など柑橘系の組み合わせ。
次が粗塩、最後がそのままダイレクトで食す。
肉の旨みがどんどんと増してくる食べ方は
辛さんが長年の経験で考案した方法という。
これは、辛さんの指導なしに、
普通にメニューの肉をとって、自分達で焼いて食べる客には、
この醍醐味は分からない。
辛さんは、始終客席を周っているが、
自分達だけの世界に入っている客には、あまり干渉をしない。
彼らは随分損をしている。

次に出てきたのは、「コメカミ」。
こちらは、最初はそのままで、二切れ目は大蒜すり身、
三切れ目は大蒜にさらに岩塩を加えて食べる。
ダイナミックな味わいが堪能できた。
そして、「尻尾」。
これは、カリカリになるまで焼く。
コラーゲンが絡んで、口のなかいっぱいに幸せが広がる。
そして、「ホルモン」。
小腸、大腸その他。甘み十分、シャキッとした食感も心地よい。
最後にでてきたのが、また「ハラミ」。
しかし、今回は内側。
これは、筋肉質ですごい食感にびっくりする。

自家製マッコリがまた旨い。
まだ、ぶつぶつ発泡していて、開栓に時間がかかる。
これほど旨いマッコリは飲んだことが無かった。
甘みが抑えられていて、柔らかみが心地よい。
さらに、サラダ、白ご飯、自家製韓国海苔、
スープ、抹茶アイスをいただいて、仕上げ。
腹いっぱい。
本当に肉の旨さを堪能した。

以前紹介した、赤坂「さんだ」よりも、
肉そのものの旨みは上かもしれない。
あちらも、十分旨いことには変わりはないが。
虎の穴をそれほどたいしたことはないと言う人もたまに見る。
どの店でもそうだが、
店の愉しませ方、ご主人の意図を感じ取り、
それに客が答えて初めて
その店の味を最大に愉しむことができる。
このような愉しみ方を知らない客やグルメ評論家は、
店の真髄に触れることはできない。


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2006年11月8日(水)

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