“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第586回
今年のカラスミ造りを開始

カラスミを自分で造るようになってから随分たつ。
最初は伝説の居酒屋である渋谷「みつひさ」で、
店主の橋浦さんの手造りカラスミを食べたのがきっかけだった。
乾燥がゆるく、中の卵の一粒一粒の食感が残っていて、
とても美味しくいただいた記憶がある。
以来自分でも造ってみることにして、毎年仕込んでいる。

カラスミは、市販物は添加物が入っている場合が多い。
無添加でも塩漬けが長く、
しょっぱい味わいになっているものが多い。
これは、塩を甘くして漬けてみると分かるが、
冷蔵保存でも途中でかびてくる恐れがあるからだ。
長期保存には、塩漬けを十分にしておくか、
添加物で黴・腐敗を防止することが必要となる。
この点、自家製カラスミは自己責任で保存するので、
塩漬けをいい具合に加減できる。
特に、いい鯔子で漬ける場合には、
塩漬けが長すぎるとせっかくの素材の旨さが抜けすぎて、
しかも強い塩気で分からなくなってしまう。

築地市場では、鯔子は9月の中旬頃から並び始まる。
この頃は、東京の近海のものがほとんどだ。
そして、10月になると紀伊半島あたりの鯔子も入りだす。
九州方面の鯔子が最盛期を迎えるのは11月。
今年は海水の温度が高いせいで、
なかなかいい鯔子が登場せず、価格も高い状態が続いていた。
そして、やっといい鯔子がいくらか安く入荷したので、
カラスミ造りを開始することができた。

今年は6kgほど鯔子を購入。
自然塩「海の精」で漬け込んだ。
そして、1日漬けて塩抜き。
水で洗浄し、日本酒に漬ける。
今回は秋鹿「山廃純米無濾過生原酒」と
開運「純米ひやおろし」を使用。
これも塩漬けと同じ期間の1日だけ漬けておいた。
それを、最後に焼酎で洗って、乾燥させる。
通常のカラスミは乾燥と同時に整形して固めるが、
私の場合は自然乾燥で柔らかく、
粒粒が固まらないようにしている。
現在乾燥を始めたばかりなので、
あと1週間くらいで完成しそうだ。

今年も、九州方面の鯔子は質がよく、
できあがるととても旨くなりそうだ。
完成が愉しみである。


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2006年11月27日(月)

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