“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第601回
両国の老舗鰻屋

最近両国に行く機会が増えた。
先日は「豊かな東京湾再生委員会」で活動していた
食文化分科会のメンバーで構成される有志会が
両国の鰻屋で開催された。

今回は座長の小泉武夫先生のご推薦で、
そのなも「両国」という老舗。
両国駅から程近い路地裏に位置していて、
古い木造一軒家の格子戸をガラガラとあけて入る。
雨の日で、傘を預かってくれて、
さらに2階に通されるときに下足板を手渡される。
番号が「うの9番」。
全てが「う」で始まっているところが粋。

2階の座敷に座卓が並べられていて、
落ち着いた雰囲気はいかにも老舗。
鴨居には初代若乃花、朝汐太郎、大鵬などの
手形とサインが記された大きな色紙がかかっている。
十数名の出席者の大半が集まってきた。
今回は「みかわ」の早乙女さんの紹介で、
グルメ評論家の山本益弘さんも参加。

まずは、酢の物にビールで乾杯。
そして、持参してきた
悦凱陣「山廃純米無濾過生原酒」讃州雄町H11BYを
女将さんに渡して、燗につけてもらう。
これは、常温で7年間ほど自家熟成していたもの。
この燗が大好評。
丁度提供されていた鰻の肝焼きにとてもよく合う。
ほどよい熟成香と熟成味がとても心地よく、
鰻の肝の旨みと融合している。
骨太の辛さのなかに米の甘みがふくらみ、
7年の年月が育んできた綺麗な旨みが後を引く。

その後が焼き鳥。
ツクネ、正肉、レバーと続く。
そして、鰻の白焼き。
四角い平皿にどでかく鎮座している。
味は上品。悪く言うと、ちょっと野趣味に欠ける。
が、醤油タレに漬けると極上の味。
最後が蒲焼。
こちらもどでかい。
ご飯と合わせて食べると口のなかは、いい香りが充満して、
至福の瞬間を迎える。

食文化についての話も真剣に話しあわれた。
食にかかわる人たちを国が表彰するような制度を創るには
どうしたらよいか、現在の漁業衰退の状況と今後の課題、
などなど、色々な食の立場の人たちが熱く語り合う。
会食が終了したあとは、
先日にとても気にいた「ポパイ」へ少人数で訪問。
博石館にベアードビールの濃いものをチビチビとやると、
鰻がつまったお腹もすっと楽になってくる。
鰻に日本酒、ビールを愉しんだ一日だった。


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2006年12月18日(月)

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