“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第651回
老舗天麩羅屋「天音」で食文化分科会

「豊かな東京湾再生委員会 食文化分科会有志会」という、
江戸前をテーマにした会食が年に数回ある。
今年初めてのこの会は、人形町「天音」。
会のメンバーでもある茅場町「みかわ」の早乙女さんも
親しい同業者ということで、愉しみだった。

この会は、築地の仲卸や鮨屋が参加しているので、
翌朝が早いメンバーが多く、
会の開始は午後6時と早めに設定してある。
天音は、人形町駅か水天宮駅が最寄り。
今回は水天宮から歩いてみた。
5分ほどで到着。
穀物商品取引所の裏の路地にあり、
古びた建屋がなんともいえずに風情がある。

玄関を入って突き当たりの座敷が宴の会場だった。
宴が始まる前には、美味しい食事は我慢して、まず勉強会。
今回は、大阪の岸和田から仲買の方を呼んであって、
大阪の魚の卸しの話をしていただいた。
築地と共通点が多いが、
関西ならではの話もあって、とても面白かった。
特に、「忘れられた魚」の話が、
これから執筆しようと考えている単行本のテーマに重なって
興味深い。

昔は、美味しいと取引が盛んだった魚が、
最近では仲買もそうとは知らずに、取引されないという。
例えば、鯔(ボラ)。
大阪の知り合いの仲買が数十匹を名古屋に送ったら、
一尾あたり数十円にしかならなかったという。
鯔は村公一さんの絶品のものをいただいているだけに、驚きだ。

さて、肝心の天麩羅。
これが、今回は参加されなかったけれど、
早乙女さんの「みかわ」とはまた違った揚げ方。
濃い狐色をしていて、胡麻油の香りがとてもいい。
食べてみると、しっかりと揚げてある。
人形町は株屋や先物取引などの関係者が多く、
天麩羅を出してもすぐに食べてくれないという。
そこで、1時間経って、
冷めてもおいしく食べられる揚げ方を工夫してきたという。

他にも、刺身、ワタリガニなど色々なものが提供される。
それらの食材のなかで、一番高価なものは、
椀に使われている「本三つ葉」。
最近は希少であって、
そんな見えにくい部分にこだわっている店だ。


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2007年3月5日(月)

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