“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第699回
悦凱陣を42種類試飲

丸尾本店で、蒸米用の釜の前にP箱を積み、
その上に平たい板を置いて、テーブルを作る。
そこに、丸尾社長がすでに準備してある
1升ビンの入ったP箱を何個か持ってきた。
いよいよ試飲の始まりである。

まずは、今年の新酒の火入れを10種類試飲。
1升瓶がずらりと10本ならんだ。
全てラベルはついていなくて、
どの酒がどんなスペックか、丸尾社長は教えてくれない。
全体的に、まだ味の乗っていないものが多かったが、
十分に旨みがでているものもあった。
特に気に入った2種類は、酒米が亀の尾のものと、
オオセトの純米だった。
中にはカプロン酸の香りがきつくて、飲みにくいものもある。
苦手と丸尾社長に話したら、
やはりそうでしょう、と涼しげな顔。

次が新酒の生酒28種類。
これだけ並ぶと壮観。
今年の造りの全てという。
丸尾本店は丸尾社長自らが杜氏をして、少量の造りをしている。
この数が限界とのこと。
生酒は、同じ造りの火入れのものより
味のりが遥かに進んでいる。
すでに味に深みがでて、飲みごろのものも多かった。
やはり、秋口までは、火入れより生酒を選択したほうがいい。

生酒の試飲が終わり、最後に古酒の試飲を4種類。
5年から10年寝かせたもので、いずれも山吹色をしている。
グラスを近づけると、ほどよい熟成香が鼻腔をくすぐり、
口に含むと焦げた甘みのような独特の味わいが広がる。
さらに燗にしてもらう。
これがまた凄い。
なんの邪魔する味もなく、
優しく深みのある旨みだけがダイレクトに押してくる。

やはり、悦凱陣は年月を経てこそ、その真価を発揮する。
それが、新酒のうちに全て売り切れてしまうのは、
なんとももったいない。
悦凱陣ファンの方々には、
ぜひ、自家熟成を試みていただきたい。


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2007年5月24日(木)

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