“蕎麦屋酒”の著者がプロ顔負けの美味探求

第700回
高松「中川」で地魚と悦凱陣の協演

このコラムも今回で700回。
これだけ続いたのは、愛読していただいている皆様のおかげ。
今後も美味しいものを食べる体力と気力があるうちは続けたい。

悦凱陣を醸す丸尾酒造の丸尾社長に連れられて、
高松の鮨屋「中川」を訪問した。
こちらの店には2度目の訪問。
前回は3年くらい前になる。
そのときのことは、地魚の美味しさだけが記憶に残っていた。
ところが、今回の訪問で
「中川」が大変身していることがわかった。
なんと、地酒を悦凱陣だけに絞って、
しかも、その常温自家熟成古酒を提供し、
それに合わせた地魚料理を出すという。

カウンター数席がメインで、あとは、座敷だけ。
カウンターで、中川さんと話しながら
ゆっくりと魚と凱陣を愉しむ、という趣旨で、
夜の8時に訪問した。
カウンターに座るやいなや、
中川さんから、拙著「世界一旨い日本酒」に感動して、
その提案通りの常温熟成と燗で日本酒の保管と提供をしている、
という話を聴かされる。
「世界一旨い日本酒」は
居酒屋や料理屋のご主人たちも買ってくれているようだが、
これほどストレートに提案を取り入れてくれた料理屋は初めて。
著者冥利につきる、と感動を覚える。

いい造りの純米酒は、
熟成させてこそ、米の深い味わいがでてくる。
新酒のうちに飲むのはもったいない。
適度に熟成させたものを燗で飲み、燗冷ましで飲んで、
料理に合わせるところに日本酒の本来の旨さを愉しむ妙がある。
そして、自家熟成をしていい純米酒を提供するように、
数年間の運営管理を行えば、熟成酒のストックも豊かになる。
その極上の日本酒の提供方法がブームになったとしても、
他の店が追従するには数年かかる。
つまり、日本酒の熟成は現時点で開始すれば、
料理屋や居酒屋の独自運営方法を数年間独占して、
他の追従を許さない商売ができるわけだ。
これは、料理屋や居酒屋だけではなく、
小売酒屋、造り酒屋にもいえること。
「中川」は現時点で
日本酒の提供方法の最先端を走る路線を選択したことになる。

そのような感慨深い思いにふけっていたところに、
最初の料理と凱陣が提供された。


←前回記事へ

2007年5月25日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ