死ぬまで現役

老人を”初体験”する為の心構え




第16回
時代からズレない訓練を

このことは定年のない職業を選んでいる人についてもいえる。
むしろ定年のない職業のほうがもっときびしいだろう。
定年のない職業は、世の中がその存在を認めないようになれば、
たちまちお呼びでなくなってしまうからである。
スポーツ選手は体力の限界に挑戦する仕事だから、
引退をしなければならなくなる。
相撲取でも野球選手でも、四十歳はーつの限界であろう。

そういう職業は、そういう年齢で
第一線から退くのが常識になっているから、
誰しも早くからその後の準備をしている。
相撲取なら現役のうちに年寄株を手に入れたり、
将来、独立した時にそのまま連れて行ける
おとうと弟子の養成に力を入れる。
野球選手なら将来、監督になるか、解説者になる道を選ぶ。
歌手や俳優は、スポーツ選手に比べれば、
いくらか生命が長いが、
五十歳すぎても務まる人は何人もいない。

したがって作曲家になるとか、音楽教室をひらくとか、
芸能プロや俳優養成所をつくるとか、
次のステップを考え、うまくそれで成功している人もある。
そういう人は、そういう人なりの社会的な接点があるから、
職業が変わっても
第二の人生で立派にメシが食ってゆけるのである。

小売店をひらいているとか、
レストランやスナックやバーの経営をしている人は、
それほどはっきりした形ではないが、
基本的には同じ思いをさせられる。

独立をして事業を始めた当初は、時代の波に乗り、客も集まり、
商売の繁盛した経験のある人でも、
同じことをくりかえしているうちに世間からあきられ、
客が寄りつかなくなると、商売として成り立たなくなってしまう。
世の中、都会に集まる人ロは増えている。
それらの人々が三度の飯を食べることにも変わりはないし、
着る服を買うことにも変わりがない。

また旅行に行くチャンスが増えているにもかかわらず、
自分のところだけを、
お金が避けて通るようになるのはなぜか。
このことは年齢とはあまり関係はないことだけれども、
年をとるにつれて必然的に
ズレが激しくなることもまた事実である。
したがって、「年はとりたくないものだ」と誰しも思うが、
「年は必ずとるもの」だから、
年とともに次第に世の中から
ズレてゆくのを防ぐ方法を考えなければならない。

そのためには、時代に密着した接点を持つことが
何より大切であろう。
時代は変わり、常識は常に変化する。
自分の体験にあまり固執していると、
新しく起こってくることに抵抗を感じ、
それが受けいれられなくなる。
こういう抵抗の生ずることを老化現象と我々は呼ぶ。

うっかりすると、四十歳にして早くも、
こうした老化現象に見舞われる人もある。
それを避けたければ、意識的に自分を訓練するよりほかない。
どうすれば、時代からズレないですむか、は、
どうすれば、第一線に残れるかということだから、
どうすればお金が儲かるか、
といったことよりずっと優先する問題なのである。





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2014年12月26日(金)

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