死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第9回
十円玉を拾わないような人に、お金は寄って来ない

お金をたいせつにすると、
お金はどんどん集まってきます。
まず、小さなお金だからといってバカにしてはいけません。

私たち人間社会で言えば、
下っ端の人間だからといって
バカにしてはいけないのと同じ理屈です。

「一寸の虫にも五分の魂」ということわざにもあるように、
周りの人から、あの人は立派だと言われるようでないと、
多くの人に支持はされません。

同じように、「一円を笑うものは一円に泣く」
という格言も肝に銘じたいものです。
これは、たとえ十円でも同じことです。
十円足りないと電車に乗れないことだってあるのです。

大きなお金は、小さなお金が集まってできたものですから、
小さなカネでもバカにしてはいけないのです。

駅にある自動券売機で切符を買う。
そんなとき、よく十円玉を落としても拾わない人がいます。
拾わないどころか、落としても平然としている人もいます。
そういう人は、お金とはあまり縁のない人です。
もちろん私は、一円落としても拾います。

また、市場などに行くと、よく一円玉が落ちていますが、
それを拾う人はめったにいません。
拾うために要するエネルギーのほうが
一円より大きいのかもしれません。
でも、基本的には、たとえ一円であっても
だいじにしないといけない。
そうした心がけを持つことが、
お金に好かれることにつながるのです。

他人が見ると、お金は家についているものと思われがちですが、
ほんとうは個人につくものです。
それも、たいせつにする人につくものです。

たいせつにしてくれる人がいなくなると、
たちまち、たいせつにしてくれる
ほかの人を探して出て行ってしまいます。

お金のほうで人間の善悪の区別まではつかないようですが、
やさしく扱ってくれる人、
自分を可愛がってくれる人のところへは
どこへでもついて行くのです。
ついて行くだけではなく、仲間まで連れて来ます。

そういう習性がお金にはありますから、
いつも可愛がるようにしなければいけないのです。
可愛がってさえいれば、
お金は、自分たちの仲間まで呼び集めてくれるのです。





←前回記事へ

2013年4月10日(水)

次回記事へ→
中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」

ホーム
最新記事へ