死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第16回
ピンチを脱出する五つの法則

私の考えた「ピンチの法則」ですが、
それは五カ条から成り立っている。
第一に、人生にはバイオリズムがあるのだから、
ピンチというのは周期的にかならずやってくること。

二つ目は、ピンチに陥ると、
周囲で起こることがすべてマイナスに働くこと。

第三が、ピンチの後はかならず上昇気運に向かい始めること。

ピンチに陥ると誰でも、
奈落の底につき落とされたような不安に襲われるものですが、
それは心理的なものにすぎません。
かならずどこかで足が底に届き、
そこから上昇に向かうことができるものなんです。

第四に、ピンチの折り返し点は、
自分が想像しているよりもかなり上のところにあること。

人間は自分で考えているところまでは、
なかなか落ち込まないものなのです。
そして、最後は、ピンチから這い上がるきっかけは、
ピンチに陥る前に考えていたようなことからは
生まれてこないこと。

当たり前のことですが、
ピンチからの脱出に甘い期待をしてはいけません。
苦しみに鍛えられ、それがクスリになってはじめて、
上昇へのきっかけになるものです。

バイオリズムの落ち込みを最小限度におさえるには、
以上の五つの法則をよく心得て、
ピンチに冷静に対処すればいいわけです。

人間はツキに見放されているときは、
えてして、ものごとを悪いほうへ
悪いほうへと考えてしまうものです。

あとで振り返って考えると、
「あのときはだいぶ焦っていたな」とよくわかるのですが、
ピンチのさなかにあるときはジリジリするだけで、
いいチエは湧いてこないものです。

そんなときに、あわててつけ焼き刃の脱出策を試みても、
うまくいかないのは目に見えています。
そればかりか、きっかけをつかむためにやったことが、
逆にマイナスになって、
事態を悪くすることも十分考えられます。

どん底状態にあるときは、
下手に動かずにジッとこらえることです。
そうすれば、かならず流れが変わってくる。
そのときに、何をすればいいのか考えるのです。

ツキの流れが変わるには、時間が必要です。
ピンチから脱出するためには、なんといっても、
忍耐が最大の条件なんです。





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2013年4月17日(水)

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