死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第15回
バイオリズムがくずれれば、何をやってもうまくいかない

人間には、誰にもバイオリズムというものがあります。
何をやってもうまく事が運ぶ、
文字どおり、絶好調のときもあれば、
失敗つづきで、
完全にツキに見放されてしまっているようなときもあります。

よく「果報は寝て待て」と言われますが、
やはり、ただじっと待っているだけでは
ツキはやって来ないでしょう。

以前は、東京郊外のお百姓さんのように、
気がついたら自分の畑の前に駅ができていて、
地価が一千倍にも上がっていた。
その土地を手放してべつの土地を買ったら、
そこの地価がまた高騰したといった
棚からボタ餅式の大儲けをした人もいます。

しかしそんな人は、例外中の例外です。
実際、いくら自分でツキを願っていても、
ツイてくれるかくれないかは、それこそ神まかせでしかない。

それなら、いっそ自分で
ツキを呼び込むことはできないものでしょうか。

同じ会社でパートナーをやっている同士でも、
バイオリズムが違いますから、
ツキの良いタイミングの人とそうでない人がいます。
自分のツキの悪いときはツキの良い人に
素直につくという方法があります。

夫婦のあいだにも同じことが起こります。
女房のほうが強運のときは、
女房の運勢に従うのが賢い方法です。
しかし、人間にはどうしようもなく
運に見放されているときがあるものです。

私でも、「あの一年はえらい目にあった」
といった時期を何度か経験しています。
ツイているときには、何をやってもうまくいくのだから、
アレコレと考えをめぐらす必要はありませんが、
バイオリズムが底辺をウロウロしているときは、
八方塞がりになるものです。
問題はピンチになったときどう対処するかということです。

私は以前から、ツキのないときにそれをカバーするために、
「ピンチの法則」というのを考えたことがあります。
いつ、どんなときに、
どんな形でピンチがやってくるかわかっていれば、
最悪の事態は回避できるでしょうし、
うまくいけばピンチを脱出する
きっかけをつかめる可能性もあります。





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2013年4月16日(火)

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