死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第42回
物を買うときは、”心理的価値”を重視する

もっとも、人それぞれの趣味とか考え方の違いがありますから、
一概に、何と何は高いものを買うべきだとは断定できません。
カーテンは1メートル五千円のもあれば、一万円のもある。
たしかに、一万円のほうが部屋の雰囲気も落ちつきますが、
カーテンを替えれば気分も変わってくるので、
ひんぱんに替えたほうがいいという考え方の人もいるわけです。

家計の原則は、”入るを測って、出ずるを制する"ことですから、
この収入なら、このくらいの予算で買い物をしようと
計算するのはたいせつなことですが、
この収入だから、こういうモノを買ってはいけないと
決まっているわけではありません。

品物には、値段のほうに、心理的価値があると思うんです。
いいモノを買って使えば、プラスアルファーが出てくる。
逆に安いモノを使うと、
インフェリオリティ・コンプレックスに悩まされます。
女性には、とくにこの傾向が強いんじゃないでしょうか。

安いハンドバッグを持っていると、
人からバカにされるんじゃないかと気になってしようがない。
他人がそう思っていなくても、本人はそうはいかないようですね。
したがって、そんなコンプレックスに悩まされるくらいなら、
はじめから、高いハンドバッグを買ったほうが
トクだと言えるわけです。

男の人にも、そういうことはあると思います。
月給が安いから、
千円のネクタイでもいいというわけにはいかない。
人に会うと、相手のネクタイばかり目につく。
おれのネクタイは安ものだという意識が頭にこびりついて、
ろくに話もできなかったりするんです。

そういう人はいっそ、思いきって高いネクタイを買う。
背広は毎日同じでも、
ネクタイは高級なんだぞと一点豪華主義でいけば、
心理的余裕も出てくるし、精神衛生上もよろしい。

ものを買うのにも、基本原則はあります。
モノには、安くてもいいモノがあります。
反対に、絶対に品質のグレードが高くなくてはダメなモノもある。

その区別があいまいだと、値段につられて、
「安モノ買いの銭失い」になるおそれがあります。





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2013年5月13日(月)

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