死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第41回
身分不相応と思えるものをフンパツしていい

「安モノ買いの銭失い」というのは、
いまでもあるんです。
お金持ちをべつにすれば、一定のお金しかなくて、
ほしいモノは山ほどあるわけですから、
それに対応する上手な買い方がなくてはなりません。
「安モノ買い」は、その下手なほうのひとつです。

一定のお金しかないのに、
買いたいモノがたくさんあれば、
できるだけ安いモノをたくさん買うというのがひとつの方法です。
つぎに、優先順序をつける買い方があります。

ひとつのモノを買えば、
犠牲にしなければならないモノが出てくるわけですから、
どれを優先させるかを決めなければならない。
それを間違えると、たいして必要でもないモノを
先に買ってしまったりして、後悔します。

三つ目が「安モノ買い」です。
安く買うのと、安モノ買いとは違うんです。
車なんかは、三年か四年で買い換えることになりますから、
ほんとうはあまり上等なのを買う必要はないんです。
でも、机や椅子、家具なんかは、
いい品物であれば一生使えますから、事情が違ってきます。

いま、私が事務所で使っている机は、
二十年ほど前に三十九万円で買ったものです。
いまでもそれを使っているのは、
つぎつぎと新しいものが出ても、
それ以上の机に出合わないからです。

長年使っても、飽きがこないし壊れることもありませんから。
一日当たりの計算にすれば、安いものです。

一般的にいって、長く使うことのできるモノは、
すこし高いモノを買うほうがトクなんです。
台所用品なんかもそうです。
庖丁とかフライパンなんかでも、
すこし奮発していいものを買えば、長持ちします。

家具や台所用品は、安モノを使っていると、
生活のレベルがアップするにつれて、安っぽく見えてくる。
最初にいいモノを買っておけば、
飽きもこないし、いつまでも使えます。
だから、予算を落として量を揃えるより、
逆に予算を超過させても、品物を少なくしたほうが、
結果的にはトクすることが多いんです。





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2013年5月12日(日)

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