死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第79回
自分とは正反対の友人とつき合うことで、金運に恵まれることもある

本田宗一郎と藤沢武夫といえば、
一介の町工場から本田技研工業を
世界一のオートバイメーカーに育て上げた立役者たちです。

本田さんというのは典型的な技術屋タイプ。
オートバイのエンジンなどをつくり始めると、
それこそ夜が明けるのも気づかないというタイプで、
この人が先頭に立って
本田はつぎつぎと新しい技術を開発してきました。

いっぽう、藤沢さんは、技術のことは口に出さず、
お金のことなど実務面を一手に引受けてやってきた人です。

この組み合わせがあったからこそ、
本田さんが技術開発に全力を注ぎ込むことができたわけで、
タイプの違う二人のリーダーがガッチリとスクラムを組んで、
お互いの足りないところを補い合うことによって、
本田という会社は、何回ものピンチをくぐり抜けて、
現在のスケールにまで発展しているのです。

この二人の例を見てもわかるように、
人間というのは、タイプの異なる者が
一緒になったほうがうまくいくことが多いようです。
家庭での人間関係にも同じことが言えるのではないでしょうか。

おしどり夫婦と言われ、
円満な家庭を築いているカップルでも、
夫と妻ではタイプが違っており、
お互いに足りないところを補い合っていることが多いものです。

片方が楽天的だったら、もう一方は悲観的とか、
あるいは、一人が細かいことには
拘泥しないおおらかな性格だったら、
一方は凡帳面な締まり屋タイプであるとか。

性格や考え方のまったく違う二人が一緒になることで、
会社でも夫婦関係でもバランスが良くなります。
もちろん、お互いが自分にないものを
相手に発見するわけですから、
尊敬に基づいた固い信頼関係をつくることもできます。
一緒に何かやるにしても、
自分にできないことは
「その話は、あいつにやってもらえばいい」と、
うまく役割を分担しながら仕事をすすめることもできます。
これは、友人との関係についても同じことが言えます。

自分とは正反対の性格の友人とつき合うことで、
人間としての幅が広がるし、自分に不得手のことや、
いままで気づかなかったことが見えてきます。
思いもかけなかった道が開けてくることもあるし、
思わぬ金運に恵まれることだってあるんです。





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2013年6月21日(金)

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