死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第91回
四十代になったら、できるだけお祝いはフンパツする

いくらお金を貯めるためでも、
いまは「義理欠き」は通用しなくなりました。
四十代になったら、
せめて親類とか知人の結婚式のお祝いくらいは、
人並みより心もち気張ってもいいのではないでしょうか。

歳をとるにしたがって、
人から愛されるチャンスは、だんだん少なくなってくるんです。
ですから、あのおじさんは気前がいいなあ
と思われるくらいのほうがいいんじゃないかと思うんです。

もちろん、若いときから、
気前よく出していたら、家計がもちませんし、
お金が貯まるどころではありません。

友人同士なら、結婚式も行ったり来たりになるわけですから、
気張る必要はないでしょう。
仲間同士は二万円と、
あらかじめ協定を作っておいてもおかしくはありません。

私自身、むかしはケチをしていましたから、
常識ギリギリの線しか払いませんでした。
いまとなっては、そうもいきません。

ケチケチしてイヤなやつだと言われるとシャクですし、
そうやって残したって税金で持っていかれるんですから。
おまけに結婚式に顔を出すと、
かならずスピーチをさせられます。
いつも私はこう言っているんです。

「私は、ふだんは日本で一、二を争うほど
高い講演料をもらっているんですけれど、
今日は、お金を払って話をさせてもらいに来ました。
それというのも、
花婿のお父さんとは長いつき合いがあるからなんです……」
世間並みの常識を心得ていれば、
あとは、そんなに困ることはありません。





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2013年7月4日(木)

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