死に方・辞めかた・別れ方  邱永漢

去り際の美学

第97回
頭を切り換えれば、誰でもマンション利殖術で儲けられる

十四、五年まえに四千万円で買った郊外の家は、
おそらく家賃は二十万円くらいでしょう。
売れば七千万円になるものが、
月二十万円にしかならないのですから、
利回りはひどく悪いわけです。

その理由は簡単です。
マイホーム用に建てた家は、
賃貸用に建てた家とは別物なのです。
それを無理に賃貸用に回すから、お金にならない。

逆に言えば、借りたほうは
すごくトクしたことになりますから出て行かない。
居住権を主張して、居すわるおそれがあります。

そんな目に合いたくないと思えば、
持ち家至上主義の考え方を捨てて、
新しい発想に切り換える必要があります。
私なら、その家を七千万円で売ってしまいます。

七千万円あれば、
東京の中心部に2DKぐらいのマンションを買えます。
それを賃貸に出せば二十万円の家賃をもらえる。
そのお金で転勤先に家賃十万円の家を借りればいいのです。
地方都市なら、相当立派な家が借りられるでしょう。

それでは、東京へ帰ってきたときに住む家がない、
2DKのマンションではイヤだという人は、
よほど持ち家信仰の強い人です。
住む家はいっぱいあります。
また家を借りればいいのです。

東京近郊には、
賃貸用の庭付き二階建ての住宅がたくさん建っていますし、
ちょうど自分が転勤したときと
同じ立場に立たされている人がいるはずです。

たぶん、八万円の家賃で十分でしょう。
このように、持ち家にこだわらないほうが
トクな時代になってきたのです。
だから、いま現在、都心のマンションに住んでいて、
手狭になったので、
そこを売って郊外に一戸建てを買うなどというのは、
利殖の面から言えば、わざわざ損するようなものです。

かりに七千万円で二月建てを買うつもりなら、
同じ値段で都心にマンションを買えば、
二十万円で貸すことができます。
郊外に十万円で家を借りても、差引き十万円のトクになる。
二階建てに住みたいという希望もかなえられるし、
マンションも財産としてちゃんと残ります。
こういう話を講演ですると、
かならず「そんなにうまくいくはずがない」
「たしかに合理的だが、やっぱり自分の家がないと不安」
などという声が返ってきますし、
こうしたアドバイスどおりに実行して
成功している人はたくさんいます。
しかしこうしたアドバイス通りに実行して
成功している人はたくさんいます。

一生懸命働いて収入さえあれば、
マイホームだろうと借家だろうと心配することはないんです。





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2013年7月10日(水)

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