第38回
■ KSさんからのQ(質問)

邱 永漢 様

大変にためになるサイトを開設して頂きありがとうございます。
早速私の短絡的かも知れない質問をさせて頂きます。
現在アメリカに永住しております会社員ですが、
このままの会社人生ではどうも満足せず、
年齢的にも今新しいビジネスをスタートさせたいと考えております。

こちらのある程度の富裕層が多く住む地域に
アジアの民芸品、家具、アート、アンティークをバランスよく扱う
ギフトショップ的なビジネスを考えているのですが、
邱様はどのようにお考えでしょうか? 
先生もおっしゃられるように世がIT時代になればなるほど、
手作りの少し無骨でも温かみのある品が
人々の周りには必要になってくるのでは、と思います。

幸い妻が経理の仕事をしており、
数字の苦手な私の助けをしてくれる算段なのですが、
如何せん商売は初めてなのでどうしても不安が先に来てしまいます。
また家賃を調べますと、採算が取れるのか皆目見当も付きません。

どの人に聞いても小売業の難しさを説かれ、
そのたびに揺らぐ自分が情けなくもあります。
是非先生のご意見を拝聴させて頂きたくメールを差し上げました。
宜しくご回答いただければ嬉しいです。


■ QさんからのA(答え)

アメリカでずっと会社員をおやりになっていたのを、
何とか独立して仕事をしたいとお考えのようですけど、
そういう時に考えることは、結局、
自分の生活してきた範囲内でしか考えられないんですね。

ですから、たとえばアメリカに行くと、
よくショッピング・センターの中に小さな店が並んでおりまして、
何とかやっておるように見えますけど、
採算をとるのはなかなか難しいんですね。
ちゃんと採算にあってやっていけるかというと、
しばらくするとすぐ代替わりするのを見てもわかるように、
うまくいかないんです。
金持ちのたくさんいるところで、
そういう人たち向けのものをつくって売るというのは、
私はサラリーマンをやっているよりもっと難しいと思います。

もしやるなら、物を売る仕事よりは、
食べ物とかレストランとかだったら、
毎日必要だしお腹もすいてくれますから、
うまくあたれば商売になるんですけど、
その代わり休めないんですね。
新しいビジネスをやるのは、
私はいつも40歳がラスト・チャンスで、
できるだけ若い時にやったほうがいいと言ってるんですけど、
42歳はそういう意味ではちょっと外れかかっているところなんですね。
ですから、そんな冒険はやめて
商売のうまい人の片腕になって働ける職場を
見つけるのはいかがでしょうか。
私はよく人に独立をすすめますが、
不得手な人にとっては死の苦しみです。
ましてアメリカ中が節約を強いられる時ですから。





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