第358回
■雲呑麺さんからのQ(質問):香港の将来について

毎日楽しく拝見させていただいております。
日本発にもかかわらず海外居住者に大変有益な情報を
ネットを通じて手軽に読めることに大変感謝しております。
ありがとうございます。

さて、私は現在31歳で香港に暮らしているのですが、
香港の将来、すなわちこのまま香港で働き続けた場合の自分の将来
(現地採用で働いております)について
漠然とした不安を抱いております。
周囲の意見は大抵悲観的なものが多いのですが、中には
そうはいっても長年蓄積された香港の
自由なビジネス環境は魅力を失わないし、
華南経済の中心としての役割は捨てきれないはずだ、
という人もおります。ただ実際にはやはり北京語の需要も増し、
事務所の移転、香港の人員削減を含めあらゆる分野で
大陸へのシフトが驚くべきスピードで進行しています。
不況下の香港の話題は日本と変わらず
どこを向いてもパッとしないものばかりで、
上海や北京の上り調子の状況を聞くにつけ、
自分も北上すべきかと考える毎日です。

香港の将来について邱先生はどのような考えを
お持ちでいらっしゃいますか。
私自身は香港が大変気に入っているのですが、
仕事、ということに限定しますと、
かつての日本の高度成長期の日本を知る自分の父親の話や
上海、北京の友人の話を聞くたび、
そこで高度経済成長の波に乗って仕事をする楽しさ、
独立のチャンスの多さもまた大変魅力的に感じるのです。

漠然とした内容の質問で恐縮ですが、
どうぞよろしくお願いいたします。
(ちなみに普通語は学習経験があり、日常会話レベルです。)


■QさんからのA(答え)

香港にお住まいで香港の将来について心配されているようですけど、
私は十何年前に、香港が中国に返還されても、
香港が中国の中に埋没しているのではなく
中国大陸の香港化が起こるから香港は駄目にならないと言って、
自分の家も香港に買いました。
その頃、香港の不動産は3倍にも5倍にも値上がりがしましたが、
いまは元のもくあみになってしまいました。

うちの香港オフィスは、
一頃は1平米が1ヵ月40香港ドルの家賃で貸せたのですが、
いまはたったの13香港ドルです。
香港の特徴は不動産の値段が3分の1に下がると、
家賃も3分の1に下がります。ついでに給料も下がってしまうんです。
下がらないのは役人の給料だけです。
香港はいま不安に包まれています。
失業者も増える一方だし、政府の財政も大赤字です。

かつて香港が栄えた理由は、
ひとつは中国投資をする場合の基地になっていたということです。
もう一つは広東省などで作られたものを外国へ輸出するときの
いわば「窓口」になっていたということなんです。
これは香港が自由港で
なおかつ税率が安いということとかかわりがあります。
でも、経済の中心地は上海に移りつつありますし、
財政赤字をカバーするためにいままでの税金ではまかないきれずに、
もしかすると、所得税はいま一律15%を20%に、
法人税は17%ですけど、それ以上に直すことが起るかも知れません。
そうなると香港のメリットは一挙に失われてしまいます。

また最近では香港を経由せずに、
中国本土から直接外国へ物を送り出す形に変わりつつあります。
港としての香港の役割も窓口としての香港の役割も、
だんだん減るという方向に動いています。

私自身、香港に住みあきたということもありますが、
秋口から上海に居を移す予定です。
オフィスは残しますが、香港にきた時はホテル住まいになります。


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