第454回
■カゴの鳥さんからのQ(質問):今後の診療所経営

開業して10年目の45歳医師です。
勤務医時代の私自身は、
酒飲みの割り勘よりも難しい金勘定はしたことがなく、
経営に詳しい人たちとのネットワークもありませんでした。
必要に迫られて、いろいろと勉強しているうちに
先生の書籍に行き着き、時代と事業のルールの変化を実感しました。

私どもの分野も、いままでどおりの経営では
早晩黄昏がやってきそうな雲行きです。
生き残りのため、介護関係施設の運営も考えましたが
私の地域ではすでに飽和状態です。
そこで、診療所と健康増進施設を併設して、
予防医学に比重を移すことを考えています。
健康増進施設といっても、予算の関係でスペース50坪以下、
筋力増強マシン10台程度のジムという規模です。
ジムを診療所内の組織にして理学療法士を雇えば、
人によって健康保険を適応することもできます。
主な対象として想定している人たちは、
比較的元気で前向きな中高年です。
先生はこの計画の採算性、将来の発展性についてどう思われますか。

また、これからの開業医への
経営上のアドバスなどいただけましたら幸いです。
医は仁術ですが、算術基盤が安定していなければ
それを実現することはできないと考えております。


■QさんからのA(答え)

世の中は老齢化の方向へ向かっていて、
お医者さんにかかる人の数は時と共に増えています。
その反面かつてのブームが過ぎて、
自分で開業しているお医者さんは
なかなか難しいところにおかれていると思います。
そういう状況ですので、
ちゃんとした経営というのが要求されているわけです。
そういった病院が生き残るために考えられることの一つは
老人の看護をどうすればいいかという問題ですが、
この分野は多くの人が手を出しておりますので、
それなりに競争も激しくて難しいところがあります。

それならば元気な人の方を向くようにしたらいいんじゃないかと
お考えのようですけど、これもまた難しいんです。
身動きができないとか、死にそうだということになりますと、
年寄りやその周辺の人は泣き泣きお金を出しますけど、
元気な人はお金どころか舌を出すのも嫌という人ばかりですから、
なかなか思うようにお金を払ってもらえないと思います。

現にそういう仕事は元々、
お医者さんより周辺を取りまく人たちの仕事の領域ですから
お医者さんがそこに手を出すと
まず失敗する可能性の方が大きいと思います。

そういう仕事よりはやはり、
ギリギリの線で生死を扱う仕事に賭けた方が
医者としてはやりやすいのではないでしょうか。


←前回記事へ 2003年11月27日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ