中国株・起業・人生相談・Q&A-ハイハイQさんQさんデス-邱 永漢

第2824回
■イズモンさんからのQ(質問):コピーライターとしての才能

邱永漢先生、毎日大変勉強になっております。
ありがとうございます。

本日は邱先生の「コピーライターとしての才能」について
お伺いいたします。
コピーライターと表現をしてしまってよいのかわかりませんが、
邱先生の著書はどれもタイトルが格好よく、
引きつけられるものを感じます。
数ある中で、特に私の好きなタイトルを挙げさせて頂きますと、
「マネーゲーム敗れたり」、「勝つのはお金かマルクスか」、
「野心家の時間割」、「金儲けはグローバル化の巨象に乗って」
など等、その他挙げますとキリがありません。
邱先生はこの様なご自身のコピーライターとしてのセンスを
どの様に磨かれてきたのでしょうか。
また、素晴らしいタイトルは
直感で思いつかれることが多いのでしょうか。
ぜひ教えて下さい。


■QさんからのA(答え)

タイトルの付け方を見て
コピーライターを連想したということですけど、
実は本のタイトルを決めるのはとても難しいんです。

いつも出版屋さんと喧嘩をします。
出版屋さんは耳に入りやすいタイトルが好きで、
その時の流行りのタイトルを付けたがります。
でも私に言わせると、耳に入り易い言葉は抜けやすい言葉です。
ですから自分の本のタイトルを決める時に相当考えます。
本屋の平台に並んだ本を見た人が5秒間の間に、
すぐそれを手に取ってみたいと思わせるタイトルは何かと
考えるのです。
それで成功した例もありますけど、失敗した例もたくさんあります。

一番の失敗は「考えオチ」です。
その時では意味がわからなくて
家に帰ってから気がつくというのでは、
末広席で落語を聞いて帰りの電車の中で笑うようなもので、
その時ではもう間に合わないんです。
例えば私は「途中下車でも生きられる」
という題をつけたことがあります。

当時国鉄のキップには
裏に「途中下車前途無効」と書いてありました。
でもそんなことはないんだ、
会社を辞めて転職してもやって行けるよという意味でした。
今は誰でも平気で会社を辞めるようになりましたけど、
今から30年前は、会社を辞める人なんて居なかったんです。
それでそういう題をつけたんですけど、
どうして途中下車なのかと考えるだけで
10分以上かかってしまうし、
第一そんな本を会社に持って行って読むわけにはいかない、
ですから私の本の中であまり売れなかったんです。
こうした考え方は実はコピーライターとして大切なことです。
もしかしたら自分はコピーライターになれたのではないかと
考えたこともあります。


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2010年5月25日(火)

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