至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第8回
海外修業は激動の日々

今年は、私にとって本を出版したり
大きな変化があったような、
でも私自身にはそれほど影響も無かったような(笑)
不思議な1年でした。

でも、その本に登場するコック達は違います。
たった1年ちょっとの間なのに
彼らはもう、はっきりと去年とは違う。。

最初、彼らに会いに行ったのは2002年4月です。
本の出版は翌年になりましたが
それにあたって近況を載せるため
2003年の夏、
あらためて取材することになりました。

すると
恋人と仕事と家族との関係に
思いっきり悩んでいた人は
結婚しシェフになり、パパになり、
「仕事は僕の基盤だから、絶対に恋愛に左右されない」
ときっぱり言いきっていた彼は
失恋してグラグラに揺れていました。
他の国へ行った人、帰国した人
悩みを抜け出した人、壁にぶつかった人。
コックとしての技術もそうでしょうが
人間として、状況も気持ちも
まるで毎日生まれ変わってるみたいに
クルクル変わります。

単身、海外で暮らすと
「1年半で15年分ぐらいのできごとが起きる」
とコックのひとりが言っていましたが
まさに彼らと話していると実感します。
それが前進であっても
たとえ停滞や後退であったとしても
私にはたまらなく、うらやましい。

もちろん海外で修業したというだけで
誰もがみんなエライとは思いません。
問題は帰国後、その後の人生。
きっとそれは彼ら自身が
いちばんわかっているでしょう。
私はただ、ただ
彼らがこれから、私たちに
どんなおいしいものを作ってくれるのか
どんな幸せを与えてくれるのか。
それを楽しみにしているだけです。

そしていつでも彼らの顔をまっすぐ見られるよう
私もちゃんとがんばって
できれば
10年後の彼らにまた逢ってみたい、と
この記念すべき年の終わりに思います。


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