至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第53回
同世代シェフに注目してます

先日、あるリストランテのシェフと話していたら
彼が、私と同い年だということが発覚しました。
36歳、未年。
そしたらその場にいた
チーズ講師の西村さん(第46回に登場)も
干支は違いますが同学年だと知ったのです。
最近いろんな場所で
同い年と遭遇します、という話に転がると
そのシェフはにこやかに言いました。
「僕らの世代が
どんどん出ていかなきゃダメですよね」

単身現地に渡って勉強し、
日本に、ピザやスパゲッティではない
イタリア料理を教えてくれた先達のシェフ達は
相変わらずエネルギッシュです。
人気を不動のものにしながら
新しい試みもまた、どんどん展開しています。

しかしその下で
第一人者であるシェフ達の仕事を見てきた世代が
今、続々と厨房のトップに立ち始めました。
彼らの多くは20代後半〜30代。
料理だけでなく
イタリアのファッションも、映画も、スポーツも
イタリアそのものを身近に感じ、
影響を受けた世代です。
そして全員とは言いませんが、
かなりの高率でイタリアでの修業経験があります。

もう「本場で修業しました」だけでは
通用しないということを
重々承知している彼らは、皆
イタリア料理をそのまま伝えるのでなく
自分の料理、自分のスタイルを追求したいと
口を揃えます。

それは創作料理という意味ではなく
自分の中に一本芯を通すこと。
伝統的な手法を用いるにせよ
ごくごく限られた地域のマンマの味を伝えるにせよ
そこに独自の目線がなければ
イタリア料理を食べ慣れている
今の客を満足させることはできません。

そう考えているコック達が
シェフとなってメキメキと顔を出してくる。
当事者にとっては厳しい状況かも知れませんが
食いしん坊としては
料理界に色とりどりの個性が散らばって
どんな皿を見せてくれるのか
想像しただけでうれしくなってきます。

そういえばあるコックは
「30代が、味覚、気力、体力すべてが最高の時期」
と言い、
イタリアで修業中のコックの多くが
自分の店をもつ目標年齢を30代と設定していました。
料理界に限らず
30代は(個人的には40代もそうだと思いますが)
一般的に、脂ののり切った時期だとも言われます。

かなり身贔屓入ってますが
これからいっそう、同世代のシェフの店に
注目したいと思います。


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2004年3月3日(水)

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