至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第86回
地ビール王国、ベルギー

家の近所に
ベルギービールを飲めるカフェがありました。
お天気のいい日曜の午後、
チキンにベーコン、卵に野菜がたっぷり入った
クラブハウス・サンドイッチを頬張り
ベルギーのホワイト・ビールをまったりと飲むのが
ささやかな幸福だったんですけど、
ある日
閉店の貼り紙とともに
人生の楽しみの一つが突然、消えてしまいました……。

ビールが好きなんです。
アイルランド、イングランド、ドイツをはじめ
日本の地ビールも節操なく好きです。

ベルギービールと出合ったのは
10数年前。
当時は銘柄も「シメイ」と「ヒューガルデン」
くらいしか知りませんでしたが
神保町の『ブラッセルズ』でその懐の深さを知り、
しかし銘柄の名前を憶えるより先に
ただ、ただ飲んでいました(若かったなぁ)。
今なら、できれば地図を片手に
じっくりと味わいたい。

小学生のような表現ですけど
フランスの右上、オランダの左下、ドイツの左にある
小さな国がベルギー。
四国の約1.5倍ほどの国土だそうです。
ワインの葡萄が穫れなかったベルギーでは
だからこそ
独特の地ビール文化が生まれたといわれます。

最初に飲んだときは、
「こんなビールがあったのか」とびっくりしました。
日本で流通しているビールは圧倒的に、
冷やしてゴクゴク飲める
キレのいいラガービール(下面発酵)が主流なのに
ベルギービールときたら
ゴクゴク系はもちろんですが
香りと味わいが愉しめるエールビール(上面発酵)や
酸味のあるランビックビール(自然発酵)
なんていうのもあります。
そしてこの
バラエティ豊かなエール、ランビックビールこそが
ベルギービールの魅力なのだとか。

ベルギービールは、エールだけでも
さまざまなタイプに分かれます。
たとえば
白く霞がかった、爽やかなホワイト・ビール。
シェリー酒を造った後のオーク樽で熟成した
芳醇な香りのレッド・ビール。
修道院内の醸造所で造られる、伝統的なトラピスト・ビール。
トラピスト派以外で、昔醸造所があった修道院から
レシピと醸造方法を受け継いでいるアビィ・ビール。
黄金色が綺麗なゴールデン・エール。
そして
これらのどのカテゴリーにも入りきらない
その土地独特の個性をもったスペシャル・エール。
しっかり冷やして飲むものもあれば
常温(約15℃)でおいしいビールもあります。

ちなみに、日本の酒税法では
定められているもの以外の原材料、
たとえばハーブやフルーツなども使われている場合
ベルギーでは「ビール」でも
日本では「発泡酒」の表示になるようです。

最近はインターネットや、街の酒屋さんでも
手に入るので未体験の人はぜひ。
東京なら、池袋の東武百貨店に
ベルギーをはじめとした世界のビールが豊富にありますよ。


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2004年4月19日(月)

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