至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第113回
いつかはこの場所で、こんな店を

知り合いの編集者からお誘いを受けて
リストランテのオープニング・ディナーに行きました。
これは、マスコミや交友のある人達へのお披露目でも
もちろんありますが
料理やワイン、サービスその他の意見を聞いたり、
シミュレーションの意味もあります。

このリストランテは
汐留『ビーチェ』で一緒に働いていた
横江直紀さんと新井藤一さんが
共同出資、共同経営で立ち上げたお店です。
シェフは横江さん、
新井さんはセカンドで、マネージャーを兼任しているそうです。

横江シェフは、愛知県出身です。
県内のフランス料理店で3年半修業したものの
家業を継ぐことになり、一度コックを断念。
しかし
「やっぱり料理を作りたい」とこの世界に戻って
27歳のときに渡伊。

ヴェネトで2年近く(そのうち1年以上はシェフとして)、
リグーリア、ロンバルディアで各4ヶ月で修業し、
日本では
丸ビルの『アンティカ・オステリア・デル・ポンテ』や
先の『ビーチェ』でセコンド部門のシェフも務めました。

そして神谷町駅から徒歩で7〜8分の麻布台に
この店を構えたのですが、なぜ麻布台かというと
いつも聴いていたラジオ番組が
「麻布」を舞台にしていたから、なんですって。

開店資金は親や親戚に借りました。
ただし実家がちょうど(?)ステンレス工場で
厨房などの設備代が、かなり助かったみたいです。
内装は、
「ライティングや空間の使い方がカッコイイ」
とかねてから雑誌などを見て
惚れ込んでいたデザイナー・橋本夕紀夫さんに
直接、手紙を書いてお願いしました。
でも経費節約のため
解体作業などできることは自分たちでやり、
今夜の招待状も
好きな雑誌の編集部へ片っ端から送ったのだとか。
ちなみに
私を誘ってくれた編集者は、インテリア誌の編集長から
招待状をもらったそうです。

いつかはこの場所で、いつかはこの人に設計を
いつかはこんな店にしたいと
彼らはずーっと、しかも具体的に思い描いてきたのでしょう。
一度あきらめた道を、
再び走っていられること自体が
嬉しくて嬉しくて、という感じの
思いのたけを込めた走りっぷりですよね。

まだ始まっていないリストランテの、
しかもオープニングという特別な機会の料理なので
今回、料理の内容に関することは避けましたが
夜が明けて、
彼らの店がスタートを切ったら
もう一度行ってみたいと思います。


■Ristorante Verso l'alto(リストランテ ヴェルソラルト)
東京都港区麻布台2-3-20 豊栄ビルB1 TEL 03-3585-1658
URL http://www.verso-lalto.com
※5月10日にグランドオープンしました。


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2004年5月26日(水)

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