至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第141回
世界一割れにくいワイングラス

選ぶワイングラスによって
ワインの味わいが変わる、ということをテーマに
第12回では、ボウル部分の形に着目した
リーデル社のグラスについて書きました。
いいのは知ってるけど、リーデルは高い! 
という声もよく聞きますが、じつは
クリスタルガラスでハンドメイドのソムリエシリーズ、
同素材でマシンメイドのヴィノムシリーズ、
ソーダガラスのワイン、オウヴァーチュアシリーズなどの
区分けによって価格は違い、しかもネットで探せば
ヴィノムでも1客1000円台で手に入れることが可能です。
ただしグラスですから繊細で、
とくにクリスタル素材は傷つきやすく、割れやすいのは事実。
我が家では
酔っ払ったその日は絶対に洗わない
という、鉄の掟があるほどです。
しかし、そんなワイングラスの宿命に
挑戦状ならぬ鉄球を叩きつけた人物に会いました。

橋口秀樹さんは、もともと
ニュージーランドやフランスの、家族経営規模で
つくられている良質なワインを輸入している人。
その彼が、プライベートな趣味である
合唱公演のためにドイツへ遠征したときのことです。
現地の酒屋へワインを見に行くと、
そこで「世界で一番割れにくいグラス」
なるものに出合ってしまいました。
クリスタルでありながら
なんと鉄球で打っても、割れない!?

その日、彼はホテルへ戻っても興奮冷めやらず、
メンバー達に
その機能をとっぷりと説明したそうです(メンバー談)。
そしてその時点で橋口さんはもう
日本へ輸入しようと考え始めていたのだとか。

通常、クリスタルグラスには鉛を使用しますが
そのグラス『トップテン』は
鉛ではなく、
チタンとジルコニウムを配合した新素材「トリタン」を
使っているのだそうです。
そのため軽く、クリスタルだけど傷つきにくく
テーブルで倒したくらいでは
まず、割れないのだとか。

半信半疑の私の目の前で
橋口さんはグラスをガンガン倒し
「ほらね」と笑います。
その扱いときたら、見ている方がハラハラ……でも
割れないんですね、これが。
さらに、実際目の前でグラスに鉄球を打ち付ける
デモンストレーションが……やっぱり、割れない。

これから日本の飲食店やワイン愛好家達の間で
割れにくいグラスが、どう評価されていくのか。
ドイツの酒屋で
自身が体験した驚き、それだけを原動力に
橋口さんは
ピカピカのグラスを倒し、洗って、磨いてはまた倒し、
「おおっ」
と声が上がるたびに、にんまりとしています。

なお、「トップテン」のグラスの形は
熟成赤ワイン用や濃厚白ワイン用など、10種類。
ドイツの7人のソムリエが、試飲を繰り返しながら
デザインしたのだそうです。


■ワインパートナー
http://www.winepartner.com/


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2004年7月5日(月)

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