至福の一皿を求めて おいしさの裏側にある話

第146回
LOVE ITALY?YESならこちら→

連載もラスト5回となったこの週は
最近出合って、
好きになったイタリア料理店をご紹介します。

『カーサ・ヴェッキア』のメニューを開いたとき
私は、思わず顔がほころびました。
1ページ目は料理でもドリンクでもなく、
オーナーシェフである見崎英法さんの
イタリアでの、こんなエピソードから始まります。
パンを買いに行く途中で
「LOVE ITALY?」
と(なぜか英語で)突然尋ねてきたイタリア人に
「YES!」と答えたこと。
やがてその人と友達になり、
そのうち家族のように仲良くなったこと。
日本でイタリア料理店のシェフとなった彼は
イタリアという国に
「人生の楽しみ方を教えてもらった」
と語り、敬意を込めて今、この代々木上原で
食べ手の私たちにこう質問します。
「LOVE ITALY?」
あなたの答が「YES!」なら
さあ、『カーサ・ヴェッキア』へ。

次のページには、ディナーコースの
ユニークな名前がありました。
「屋台のコース」3990円、「食いしん坊のコース」6090円。
私は、前者にしましたが
それでも、アンティパストの盛り合わせに、
プリモとセコンドがそれぞれアラカルトメニューから選べるし、
ドルチェとカフェも付いています。
で、パスタを選ぼうとして、今度はびっくり。
乾麺のパスタメニューに加えて、
タリアテッレ、キターラ、ビーゴリ、ピッツォッケリなどなど
その日の手打ちパスタが10種類もあるじゃないですか。
うーん(喜)。
悩みに悩んで決めたパスタは
「ほうれん草のコルツェッリ 蛤とムール貝のソース」。
円形の平べったいパスタ、コルツェッリは
リグーリアのコルツェッティと同じ由来だそうです。
パスタのモチモチとした噛みごたえは楽しく、
貝のエキスたっぷりのソースはしみじみうまく、
緑あざやかな、夏が似合う一皿。

セコンドには
「イベリコ豚のホワイトバルサミコ煮込み(香味野菜と)」。
イベリコ豚独特の香りとコク、脂身のうまみは
豚肉LOVERにはたまりませんが、
ホワイトバルサミコで煮込むことで
さらに果実のような甘みや酸味が加わります。
その、なんと爽やかなことか。

見崎シェフの皿をいただきながら
私の頭に、メニュー冒頭に書かれていた
修業時代の様子が浮かびました。
イタリアに飛び込んだ若者が
現地のいろんな人にお世話になって、関わりあいながら
各土地の料理を体で覚えていく、
その全力疾走な毎日を想像すると私はまた
にんまりしてしまうのです。


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2004年7月12日(月)

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