石原新さんが歩む21世紀型日本人ビジネスマンへの道

第25
開発が少しでも遅れると・・・すぐ周回遅れに

パソコンメーカーでは、
一つ一つのモデルの開発にコードネームを付け、
プロジェクトとして管理していました。
そのプロジェクトごとに
我々のセンサーモジュールを新規採用してもらうための営業活動は
「デザイン・イン」、と呼んでいました。
プロジェクトを勝ち取るためには、
顧客の様々な部門、開発や品質保証、
購買部門からの信頼を勝ち取ることが不可欠でしたが、
まず、製品技術仕様の要求をクリアすることが何より大事でした。

デザイン・インの進め方としては、
まずサンプルを顧客に提出して、
モジュール単体の基本的な機能(ハード、ソフト)が
正しく動作するかチェックしてもらい、
次に製品の信頼性をテストします
信頼性試験では、
温度や湿度が極端に変わっても問題なく作動するか、
落っことしてしまったり、強く押されても壊れないか、
誤って大量の電圧がかかっても壊れないか、等をテストして、
それらをパスすると実際にパソコンに組み込んで、
システムとして正常に動作するかどうかを試験します。
これをトライアル・ランと呼んでいました。

パソコンの性能・機能向上のスピードは非常に速く、
モデルチェンジは約3ヶ月ごとのサイクルで行われていましたが、
デザイン・インでは、特にハードの信頼性試験や
ドライバーソフトの動作・互換性チェックに時間がかかり、
全てのプロセスを完了して量産に漕ぎつけるのに
約半年はかかりました。

新規参入者としては、
新しいプロジェクトに採用検討してもらうために、
他社にはない新しい性能や機能をアピールしたいところでしたが、
センサーテック社から引き継いだ現世代のモジュールは
既に半年の間改良されておらず、
我々がこれから始める新製品の開発を待っていると
半年から一年間は新製品を投入できないことになるのでした。
また、デザイン・インには約半年かかるため、
実際に売り上げにつながるのは
最悪一年半以上経った後になることが見込まれました。
これは、追っかける身にとって、
極めて大きなハンデと言えるのでした。


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2005年2月26日(土)

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